ただ、日本のサラリーマン的には正しいようにも見える「上司にちゃんと配慮する」部下の行動の方が、むしろ「批判的行動」よりさらに上司のマネジメントに負担感を与えることが明らかになった。
小林さんらは、そもそも部下のこれらの3タイプの行動は、上司のどのようなマネジメントによって引き起こされているのかについても分析。管理職のマネジメント行動について、「信頼・承認(部下を信頼し能力を認める)」「柔軟・臨機応変(必要な時に臨機応変の処置を取る、問題の新たな解決法を示す)」「厳格・厳密(仕事量や規則に従うことを厳しく言う、その日の仕事の計画・内容を知らせる)」の3類型に分類した。
結果、上司の「信頼・承認」のマネジメントは、部下の「積極的行動」、つまり最も管理職の負担感を減らす行動を引き出すことが判明した。「柔軟・臨機応変」も「積極的行動」をやや高め、「配慮的行動」については逆に軽減させることも分かった。
特筆すべき結果を出したのは、やはり「厳格・厳密」だった。「積極的行動」をやや上昇させる一方で、「批判的行動」「配慮的行動」を最も上昇させる結果に。前述の通り、この2タイプの部下の行動はいずれも上司の負担感増につながっている。ちなみに、管理職の「信頼・承認」と「柔軟・臨機応変」は、部下の「批判的行動」に特に有意な影響をもたらさない、という結果となった。
「“厳格な管理”は人をある程度動かすことができる反面、配慮的・批判的行動も非常に増やすことになる。(日本の上司が)部下にやりがちな行動だし一定の効果もあるが、それ以上に彼らは『自分で考えられなく』なる。陰で上司の悪口を言うような行動も、同時に引き上げてしまう」――。小林さんはこう分析する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング