「五輪強行」のほうが経済的損失が大きい、3つの理由スピン経済の歩き方(2/7 ページ)

» 2020年03月17日 09時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

非常に迷惑なイベント

 まず、(1)の「『マスギャザリング』で感染が広まり経済活動もマイナスになる恐れ」は説明の必要はないだろう。感染症というのは一定期間、限定された地域に大勢が集まる「マスギャザリング」と呼ばれる状況で拡大しやすい。その典型例として挙げられるのが、イスラム教におけるメッカの巡礼や、五輪である。

 わっと集まって感染してそれぞれの国や地域に戻って感染を拡大していく。要するに、今の世界状況の中では、TOKYO2020は、せっかく終息しかけたウイルスを、再び世界に広げてしまう恐れがある、「非常に迷惑なイベント」なのだ。

 もしそのようなことになってしまえば、国際社会からのブーイングは、ダイヤモンドプリンセス号のときの比ではない。どんなに日本側が「うちはちゃんとやっていた」と主張しても参加国から感染者が出れば、自国民の不満をそらすため、露骨な日本バッシングを始める国も出てくるかもしれない。そうなれば、再び日本への渡航制限が始まって、貿易などの経済活動にもブレーキがかかってしまうだろう。

(出典:ロイター)

 と言うと、「いやいや、夏にはインフルエンザのように終息しているから大丈夫だ」と言う人がいるが、WHOはそのような保証はどこにもないと述べている。しかも、仮にそうだとしても北半球の話で、これから冬になる南半球で感染が拡大していくのではないかという専門家も多いのだ。

 ご存じのように、このウイルスは潜伏期間が長いためサーモグラフィーによる水際対策などはほとんど意味をなさない。ということは、200を超える国と地域から人を招く五輪を開催する限り、新型コロナウイルスの日本流入を防ぐ手立てはないということなのだ。

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