――プロゲーマーのウメハラさんもプロになる際、両親の理解に助けられたと話していました。
僕もやはり親が後押ししてくれたことが大きかったと思っています。本当にラッキーだった……。両親には心から感謝しています。
――ちなみにですが、プロゲーマー以外の就職も大学院のときは考えていたんですか?
考えていました。でも、ゲームをやる時間がある職業がいいな、とゲーム中心で見ていましたね。例えば公務員とかそういった仕事でしょうか。ゲームのために定時で帰れる仕事とか、そういう選び方でしたね。
――こうしてときどさんは2010年にプロになるわけですが、eスポーツの現状についても伺いたいと思います。プロゲーマーとして昨今のeスポーツの盛り上がりをどのように捉えていますか。
今のところは大いに注目を集めてもらっているので、運がいいなと思っています。僕自身や僕らゲーマー側が意識して呼び水になったかというとそうではないので、盛り上げてくれる人がいるということなんだと感じます。
ですから、プロとしてできることは、その熱が引かない努力をすることだと考えています。具体的には、試合で勝ち続けるための努力を惜しまないこと。これはプロに求められる仕事の大部分だと考えています。
努力し続けることの大切さは、プロになるまでやってきたことと何も変わりません。
――格闘ゲームの場合、新しいタイトルが登場するとキャラの性能などゲームそのものががらっと変わってしまいますし、そのタイトルの人気がいつまで続くかという問題にも直面すると思います。ここが一般的なスポーツ競技と大きく異なるところだと思いますが、この辺りはどのように考えますか。
おっしゃる通りで、その人気タイトルがいつまで人気かというのが分からないですから、その不安は絶対にぬぐえないですよね。
ゲームの内容に関しては、これは僕個人の考えでしかないんですけど、プロゲーマーはゲーム作りには参加できない職業だと思っています。ゲームを使って競技をしている以上、プレイヤーがルール作りにまで口を出すというのはフェアではないからです。
――先ほどプロゲーマーとしてできる大部分のことは勝ち続けることだとおっしゃいました。残りの部分で、できることがもしあるとしたら、何があると考えていますか。
勝ち続けるだけでは、ゲームのことを既に知っている人にしか通じません。野球やサッカーのように人気が完成したものであれば、それだけでもいいと思います。
もちろん、eスポーツの世界も野球やサッカーに負けないぐらい華やかなものだとは思っていますが、そのことをもっと多くの人に知ってもらいたいと考えています。ですから、プロとしてできる残りの部分は、「eスポーツという世界があって、僕らはこういうふうに真剣に取り組んでいて、こういう熱い思いを持って格闘ゲームをやっているんです」っていうことを、まだeスポーツを十分に知っていない人たちに向けて発信していくことなんじゃないかと思っています。
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