NetflixがCLAMPらトップクリエイターと組む真の狙い――「製作委員会を超越する」アニメ作りの革命ジャーナリスト数土直志 激動のアニメビジネスを斬る(4/4 ページ)

» 2020年04月07日 08時00分 公開
[数土直志ITmedia]
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Netflixから日本勢への「大いなる挑戦」

 配信会社によるオリジナルコンテンツでの新しい取り組みは、今後はアニメ業界だけにとどまらなくなるだろう。Netflixでは19年に実写ドラマ『全裸監督』、リアリティーショー『テラスハウス: Tokyo 2019-2020』といったオリジナル番組がヒットし、アニメに続き日本での成功を収めた。実写番組でも、アニメと同様にクリエイターや原作者と直接組んで映像制作する動きが増えるだろう。

 配信会社であるだけでなく、クリエイティブ会社、制作スタジオでありたいとするNetflixの方向性は世界的により強まっている。日本でもこうした側面はさらに注目されていくはずだ。

 となると気掛かりなのは、日本の動画配信会社だ。日本は数多くの動画配信会社が競う世界でも有数の国である。しかし国内資本のサービスが企画したオリジナル番組は、まだまだ少ない。アニメについてはほとんど存在しないと言っていい。依然、配信サービス機能だけの会社ばかりなのである。

 もちろん投資できる金額の違いの壁はある。だが気が付くと国内の映像企画・製作のトップを走るのは外資系動画配信会社ばかりという事態になりかねない。日本の動画配信企業はいま、Netflixから大きな挑戦を受けているのでないだろうか。

著者プロフィール

数土直志(すど ただし)

ジャーナリスト。メキシコ生まれ、横浜育ち。アニメーションを中心に映像ビジネスに関する報道・研究を手掛ける。証券会社を経て2004 年に情報サイト「アニメ!アニメ!」を設立。09年にはアニメビジネス情報の「アニメ! アニメ! ビズ」を立ち上げ編集長を務める。16年に「アニメ! アニメ!」を離れて独立。主な著書に『誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命』 (星海社新書)。


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