オンライン教育「周回遅れ」の日本 “コロナ休校”で広がる、埋められない空白世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)

» 2020年04月16日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

日本は……公立と私立で「教育格差」

 こうした国々では、とにかく教育を絶やさないというビジョンを持ってオンライン教育が推し進められている。もちろんどの国も、突然の休校措置に準備ができていたわけではなく、最初は問題も起きているし、課題もあるが、足りない部分を補強しながら実施されている。

 各国の状況を聞いていると、日本との感覚の違いが分かる。これらの国では、社会を支えていくのは子供たちであるという意識がはっきりとしていると感じる。どの国も、感染症対策や医療システムの維持、経済対策などを打ち出しているが、そうした対策の一部として、子供の教育を継続するという意図が見られる。要するに、子供への教育機会を奪わず、平等に教育を施すという意識が、国家や社会のプライオリティとして高いと感じる。

オンライン教育を進める国は、学校が使えなくても平等な教育を継続する意識がある

 一方で日本は、残念ながらそんな状況にない。ある東京の区立中学に子供を通わせる保護者は、3月から始まった休校措置の後、学期の変わり目だったこともあり、授業についての方針も示されていないという。連絡があまりに少ないために、保護者が不安になるほどだという。

 また関西地方で受験を控える中学生の子供がいる保護者に話を聞いても、やはりオンラインで授業をするなどといった話は出ておらず、問題集を進めておいてくださいという程度の指示しかないという。受験生といっても、塾に通って難関校を受験するような子供たちだけではなく、学校の授業が全てという場合も多い。受験生を持つ親が不安になるのも納得である。

 しかし、都内でも有数の有名私立中学に子供を通わせる保護者に話を聞くと、学校ではいつでも動画によるオンライン授業を提供する用意ができており、スケジュールなどが出るのを待っている状態だという。また地方の私立高校では、オンライン授業を手探りながら始めているところもある。

 こうした私立の学校は日本でもほんの一部にすぎない。教育の「格差」は歴然である。

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