ゲートボールがeスポーツに? 衰退する競技、“再生”に「若者」が欠かせない理由激減する競技人口(2/4 ページ)

» 2020年05月06日 08時00分 公開
[甲斐誠ITmedia]

「お年寄りのスポーツ」という偏見なき世代へ

 「愛好者の激減で、将来的にはゲートボールの存在が危うくなる」。ゲートボール関係者の危機感は強い。同連合では、競技としての存続を賭け、eスポーツ化だけでなく、他にもいくつかの活性化策を講じている。

 例えば、着実に成果を挙げているのが学生の取り込みだ。中高年層は「お年寄りのスポーツ」というイメージが定着し、露骨な嫌悪感を示す人もいる。だが、ブームが下火になってから生まれた世代は、そもそもゲートボール自体を知らない。こうした偏見のない若年層に着目し、普及指導に取り組んできた。

 高校野球の強豪校として知られる、栃木県の作新学院高校では、部活動として長年の競技実績があるが、同連合ではこうした既存の成功モデルの拡大を図っている。体験授業を契機にゲートボール部が発足した神奈川県の星槎高校などが好事例といえる。各地で同連合の支援の下、生徒向けの体験会が開かれ、「高校ゲートボール」の普及が少しずつ進んでいる。

 筑波大学などと連携し、小学生にゲートボールを浸透させるための研究も進めている。普及に向けた前段階として、ゲートボールの教材価値の研究やその指導方法を確立する必要があり、21年度中の完成を目指す。体力をあまり使わず、技術的にも容易な点では小学生に適しており、20年度から始まるモデル校での試行を経て、各地の小学校での学習プログラムに組み込まれることを目指している。

ゲートボールを知らない若い世代をターゲットにした取り組みも進む

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