それは、日本の労働慣行に合致させた形で、自社なりの成果主義を打ち立てていくことだ。そのために有効なのは以下の点に尽きる。
とはいえまだ抽象的なので、実際に日本で成果主義を導入し、うまくいっている企業の例を紹介していこう。
例えば「花王」では、年功序列制が当たり前であった1965年から社員の能力開発支援に力を入れ、目標管理制度を導入。その後も改良を加えながら、2000年ごろには現行の「職群制度」と呼ばれる人事制度が整えられた。これは、結果が出るまでに時間を要する研究部門では「長期的な研究成果」を評価に含めたり、生産部門でも結果のみならず「習熟度」を評価に加味したりするなど、部門と職種ごとの特性に配慮した役割等級を設定して評価基準を設けるものだ。
「目標管理」という名称ではあるが、一般的な成果主義でイメージされるような「トップダウンによる一律の目標設定」も、「短期スパンでの実績要求」もなく、あくまで社員の能力開発や創造性の発揮を促す環境を整備することを重視しているのだ。もし能力やパフォーマンスが発揮できていなければ、役割を変えたり、能力開発支援がなされたりする。つまり、評価は会社が社員をどう育成し、どう支援していくのかを考えるためにあるという考え方なのだ。
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