フィンテックで変わる財務

PayPay、LINE Payと提携し紙の領収書を不要に 経費精算クラウドのコンカーは何を目指すのか?(3/3 ページ)

» 2020年05月20日 15時38分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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PayPayが決済データを外部に出すのは初

 コンカーのシステムとの連携を発表したPayPayとLINE Payだが、LINE Payはすでにマネーフォワード クラウド会計などが対応している。一方で、PayPayが決済データを外部に提供するのはこれが初めてだ。

 「(PayPayの決済データを)すべてのパートナーに公開するかは決定していない。必要に応じて順次検討する」と、PayPay 事業推進本部の柳瀬将良事業開発部長は話した。

 外部のPFM事業者にもデータを提供していないPayPayだが、今回も決済データを参照できるAPIを用意したわけではない。PayPay側でコンカーのAPIを利用する開発を行ったという。

 データ連携の実現は、PayPayは6月以降、LINE Payは年内対応に向けて検討中だ。さらに、10月の法改正以降は、領収書不要の連携にも対応していくという。また、精算金の電子マネーのバリューでの支払いにも対応し、こちらはPayPayは時期未定、LINE Payは6月頃の予定となる。

開発中のPayPayのコンカー連携イメージ

経費精算をなくすための、承認レス、AI不正検知

 経費支払いがキャッシュレス化されデータが自動連携されれば、法改正とも相まって、従業員側での経費精算事務はほとんどなくなる。残る2つは、上長や経理の経費精算ステップの削減だ。

 1つは「承認レス」。違反や不正がなければ、上長や経理の承認なしで清算金を払い戻す仕組みだ。データは後日分析して、不正があれば検出する。こちらは運用している企業が増加中だという。

 もう1つは「AI不正検知」だ。申請された経費精算を上長がチェックして承認する代わりに、AIが不正や違反を検知する仕組みだ。もし不正の可能性が検知されたら、初めて上長がチェックする。「自動検知でひっかからないものについては、上長が見ても不正が分からないだろうという前提でスキップする」(三村氏)

 このAI不正検知については、開発をコンカー本社で行っているという。

 「入力もなくなる、承認もなくなる、あとのチェックもなくなる。そこには人が介在しない。そういった業務プロセス、社会を作っていきたい」。三村氏は、そう話し、経費精算がなくなる世界を目指すと強調した。

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