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» 2020年06月24日 07時00分 公開

星暁雄「21世紀のイノベーションのジレンマ」:それでも接触確認アプリを入れるべき3つの理由 (1/4)

不具合の指摘や動作に関する怪情報も飛び交っているが、それでも接触確認アプリを入れてほしい。それは(1)大勢が使うことでアプリの有用性が増し、(2) 個人のプライバシー侵害などのリスクは考えられる限りで最小限であり、(3)このやり方がうまくいかない場合、個人のプライバシーを侵害する施策が打ち出される懸念があるからだ。

[星暁雄,ITmedia]

 この記事の結論はシンプルだ。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐためのスマートフォンアプリ「接触確認アプリCOCOA」が2020年6月18日に公開されたので、ぜひ読者の皆さんのスマホに入れてほしい。もちろん、筆者も導入して使っている。以上が結論である。

 なぜアプリを入れてほしいのか。それは(1)大勢が使うことでアプリの有用性が増し、(2) 個人のプライバシー侵害などのリスクは考えられる限りで最小限であり、(3)このやり方がうまくいかない場合、個人のプライバシーを侵害する政策が打ち出される懸念があるからだ。なお、読者の皆さんが気にするであろう問題点や懸念については、記事の後半部分で説明する。

AppStoreで公開された接触確認アプリ。iOS向けとAndroid向けが用意された

 iPhoneを使っている人は、こちらのリンクからダウンロードできる。iOS13.5以降が必要だが、iPhone 6s以降の機種であればOSアップデートが可能なはずだ。

 Androidスマートフォンを使っている人はこちらのリンクから。2015年10月に登場したAndroid 6.0以降が対象なので、ここ5〜6年以内に登場した機種であれば導入できる場合が多いだろう。

 iPhone 6より古い機種のiPhoneではiOS13.5へのアップデートができないので、残念ながらアプリを導入できない。また中国Huawei製の最新スマホ(P40など)には米国による輸出制限の影響でGoogle PlayなどGoogle製ソフトウェアが載っていないため、このアプリは導入できない。これらの機種のようにアプリを導入できない場合もあるが、読者の皆さんの中でかなり大勢の方々が対象機種を持っているのではないだろうか。もし導入可能な機種を使っているのなら、なるべく導入してほしい。

民間ボランティア団体がオープンソースで開発

 以前の当コラムの記事(「Apple-Google方式か国に集約か 新型コロナ感染をスマホで追跡」)で「接触追跡アプリ」を取りあげてから1カ月が経過している。その間に日本はApple-Google方式に基づく接触確認アプリを開発して公開した。前回の記事の時点では「接触追跡」という用語が使われていたが、日本のアプリでは「接触確認」という用語に変わった。

 新型コロナウイルス対策のための「接触確認アプリ」が公開されたのは6月18日である。それから約4日後の6月22日17時時点で392万ダウンロードを記録した。筆者としてはこのペースで伸び、人口に対して有意といえる割合の数字になってほしいと願っている。

 公開元は政府・厚生労働省である。一方、開発の実質的な開発主体となったのは、民間のボランティア団体「COVID-19 Radar Japan」である。この団体の成果物はオープンソースソフトウェアとして公開されている。なお、配布されている接触確認アプリは、このオープンソース版と完全に同じではない。接触確認アプリの問い合わせはボランティア団体ではなく、厚生労働省である。

 加藤勝信厚生労働大臣は、6月18日の記者会見で接触確認アプリについて「ボランティア団体Covid-19 Radarの協力を得た」と明言し、また「当面1カ月はプレビュー版」と述べた(記者会見の映像)。今後1カ月の間にブラッシュアップを進める。

「公開日から1カ月間は試行版」とされている

 開発の中核部分を担ったボランティア団体Covid-19の中心人物、廣瀬一海氏にインタビューした記事もいくつか公開されている。一方、プロジェクトに貢献した一人laiso氏が書いた記事は、別の視点から内情を伝える記事である。このように、当事者らが発信した情報はすでに出回っているが、アプリの発注元であり、提供元である厚生労働省に取材した詳細な記事はまだ見ていない。

 この接触確認アプリに対して、第三者の技術者有志らが集まって「仕様書通りか」「おかしな挙動はないか」などの検証を実施するオンラインイベントが開かれた(日本ハッカー協会が主催)。結論として、人々が心配するような「アプリの利用者の情報を正体不明のサーバに逐一送信する」といった不審な挙動は特に発見されなかった。指摘された主な問題点は、「アプリ異常終了時に識別番号など技術的データをサーバに送信するが、この部分はプライバシーポリシーの記載漏れのため、瑕疵といえる」という点である(オンラインイベントの結論部分の再録動画)。

 後述するようにいくつか不具合が指摘されているものの、アプリの基本的な機能は問題なく機能している。感染拡大を防ぐ基本機能はすでに動作を始めている。現時点で入れるか、入れないかといえば、筆者の判断は「すぐ入れる」である。失うものは特になく、感染防止につながるメリットがただちに得られるからだ。

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