攻める総務

「Web会議の導入」だけではダメ、テレワークがうまくいかない理由第2波に備えて(3/3 ページ)

» 2020年07月14日 07時00分 公開
[小林啓倫ITmedia]
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 前述のBasecamp経営者らは、テレワークでは働いている「人」が目の前にいないだけに、逆に働いた「成果」が注目されるようになり(もちろんそのためには成果を重視する評価体系を整備する必要があるが)、仕事の質が上がる可能性があると述べている。

 これは素晴らしいことなのだが、新たな問題が発生している。質を高めようとするあまり、また閉館時間のあるオフィスビルではなく自宅でずっと作業できるのをいいことに、昼夜を問わず働くようになる人がでてくるかもしれないのだ。従ってテレワークが機能したときに注意しなければならないのは、サボる従業員が出てくることよりも、燃え尽きる従業員が出てくることだと彼らは指摘している。

 前述の通り、評価の問題については、AIなどの支援ツールを導入することで解決できる可能性が高い。しかしこうした構造改革に伴う問題は、実際に制度が動き始めてみないと気付かない。従って、問題を事前に検討する一方で、あらゆるリスクを事前につぶそうとすることに労力を注ぐよりも、問題が発生したときにいち早く察知・対処できる体制を整えておくことが重要だ。具体的には、社員が気軽に問い合わせできるサポート窓口の開設や、なるべく短い間隔で定期的に検証を行うチームの設置、制度を柔軟に変えられる意思決定構造の整備などが挙げられるだろう。

 実際にテレワークを行っている現場から得られるフィードバックは重要だ。筆者の周囲でも、20年に予定されていた東京オリンピックに備えてテレワークを試験的に導入し、洗い出した問題点に対処していたことで、新型コロナ対策としてのテレワーク導入に成功した企業がいくつか存在している。

 そもそも組織改革としてのテレワーク導入は、一朝一夕に完了するものではない。関連組織だけでなく経営陣とも連携しながら、長期的な視野で取り組みを進めてほしい。

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