お茶の色を見せようとする試みは、パッケージの変更だけにとどまらない。小さくしたラベルさえも「はがしてもらう」仕掛けを施した。ラベルの裏に、“縁起がいい”イラストをさりげなく入れている。イラストは数種類あり、はがして楽しむ要素を作った。また、ボトル本体にも、ラベルで隠れる位置にダルマや招き猫などのデザインを入れており、ラベルを取ると確認できる。
4月のリニューアル直後には、「ラベルレス(首掛け式ラベル付き)」の商品を数量限定で発売した。きれいな緑色を最大限見てもらうための取り組みだが、商品名は小さな首掛け式ラベルにしか入っていない。伊右衛門だと認識してもらえるかも分からない。思い切った取り組みだった。
しかし、ラベルレスの商品を発売してみると、ポジティブな反応が多かった。「かっこいい」「分別が楽」などという声が寄せられたという。ラベルがないという斬新さに加えて、捨てるときにラベルをはがす必要がないことがイメージの向上につながったようだ。
多田氏は「一目見ただけで『変わったんだ』『おいしそう』と思えることが大事。いくら言葉で語っても消費者にはなかなか届かない。“見て分かる”価値を提供しないといけないことが分かった」と話す。
今後も、まずは商品を手に取ってもらうための取り組みを進める。リニューアルはうまくいっているものの、伊右衛門ブランドの復活まではまだ道半ばだ。きれいな緑色になったことをさらに多くの人に認知してもらいたいという。8月にはラベルをはがすことで応募できるキャンペーンも実施する計画だ。
多田氏は「『緑茶のうまさは色に出る』をもっと伝えていきたい」と意気込む。おいしさや品質の高さは、それだけで多くの人に伝わるとは限らない。一瞬で伝えられる“武器”を打ち出すことも、消費者の心を引き付ける方法の一つといえそうだ。
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