十分な休憩や休暇を取得することに加え、もう1つフィンランドの働き方として特徴的なのが、朝早くから働き始め、残業をせず夕方には帰宅すること。午前8時頃から仕事を始めて、午後5時前に帰宅するのが一般的だという。
SLURPでも「残業はまったく推奨していない」とマヌエル氏は話す。
「そもそもフィンランドの一般企業には、プライベートの時間を残業に費やすという概念が存在していません。当社のような世界進出を目指すスタートアップは別物ではありますが、それでも残業はマネージメントの社員がたまにする程度。しかもみずから望んでの残業であり、『やらなければいけない強制的な残業』は存在しません」(マヌエル氏)
残業を回避するために同社が行っているのは、どんな仕事にも徹底的にプライオリティを付けることだ。
「毎週のチームごとのミーティングでは、それぞれが持っているタスクの優先順位について話し合い、それに対して上司がアドバイスをします。優先順位が低いものは、無理に期限までに間に合わせるのではなく、期限を延ばすように指示します。残業をするのは本当にやむを得ないときだけ。残業代は支給されますが、社員の希望次第で休暇に振り替えることも可能です」(マヌエル氏)
「クライアントや上司との約束は守るべき」という価値観が浸透している日本では、期限に間に合わせるために残業をすることが多い。だが、ここフィンランドでは「勤務時間内に間に合わないなら、期限を再設定すべき」と考える。この点は両国の大きな違いと言えるかもしれない。
フィンランドのような休暇文化が浸透していない日本で、すぐに同じような働き方を実践できるかと言えば、そうではないだろう。けれども、より効率的に、より活力的に働くために「大胆な休暇は不可欠なもの」だと、多くの日本人は知る必要がありそうだ。
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