株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。
例年より1割程度低い約7割程度の内定状況だと、リクルートキャリアが7月発表したプレスリリースにありました。3月から5月が事実上選考停止状態だったことを考えれば、6月から猛烈なスピードで選考は盛り返し、むしろ例年の9割程度まで追いついたという印象です。
大学のキャリア相談現場にいますが、実態としても6月後半から7月にかけて、一気に内定は増えました。これまで、いわゆる経団連ルール、6月1日の就活解禁という日が内定確定の基準日でしたが、今年の6月1日はこれまでと違います。
今年の6月1日はまだまだ選考は去年に全く追いついていませんでした。ゆえに昨年就活した人の体験談を鵜呑みにしてしまった学生は、「6月1日に内定がないなんてもう終わり」のような誤った危機感を持ってしまったのです。われわれビジネスの実務に通じた教員は、そうした学生の間違いを正しく矯正することが役割の一つ。キャリア相談などに来てくれれば、人事の仕組みや今の企業組織における管理部門(=バックオフィス)の位置付けなど、ビジネスの素人である学生の誤認識を解いていくことができます。
コロナの影響で例年よりやや遅れてはいるものの、採用活動をしている企業においては概ね、9割方予定通り進んでいるという感触です。しかしそんな中やっと囲い込めた企業を脅すようで恐縮ですが、内定がそろい始めた7月後半くらいから、企業選びを相談する学生が増えています。恐らくその内の多くの学生は複数社の内定受諾をした上で、受諾後にやっぱりどちらにしようかという迷いがあるのだと思います。
コロナで厳しい就活を強いられた学生たちですから、せっかく得た内定をそれは大切に扱います。第一志望で無いとしても当然まずは得た内定を確保しなければ、この先社会や会社がどうなるかわからない恐怖感があります。ゆえに今年の内定者がこの先、10月1日に向けて、「やっぱり……」と考え直す可能性は低くないと感じます。
最終的な決断は学生個人がするしかないのは当然ですが、一方で採用する企業にとって、10月1日過ぎてから「やっぱり辞めます」と言われても、もう新たな手当は遅すぎます。学生には、どうしても内定を覆すのであれば1日でも1時間でも早くするよう伝えていますが、恐らく多くの学生はギリギリまで「キープ」と称して判断を先送りするのではないでしょうか。
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