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法規制変更で仮想通貨ビジネスはどう変わる? GMOコイン社長に聞く(2/3 ページ)

» 2020年08月13日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 従来に比べて厳しい2倍というレバレッジ規制はどんな影響があるでしょう。

石村氏 決まっているので、その中でやるしかない。暗号資産バブルのときには価格が乱高下したので、こうせざるを得ないだろう。ただし最近でいうとボラティリティが全然ないので、2倍でやる必要があるのかという話も、長期的にはあるかもしれない。

 取引高がないと収益につながらないので、(レバレッジ規制の)影響はあると思う。ただし、FXもそうだが、投資家は値動きを追って収益を出すので、収益が半分になるとか、レバレッジ倍率に比例して収益が下がるとかいうことはない。

ビットコイン価格が大きく変動すると売買代金が急激に膨らむことが分かる。また売買代金と収益額は連動する傾向にある(GMOフィナンシャルホールディングス決算資料より)

 取引所ビジネスの方向性は今後どうなっていくのでしょうか。GMOコインでは、ユーザーと暗号資産を売買する販売所と、ユーザー同士をマッチングさせる取引所の2つのビジネスがあります。

石村氏 本来であれば取引所ビジネスは、出来高に対して手数料をいただくのが一般的なビジネスだが、日本はちょっとユニークだ。レバレッジの取引所は基本的に手数料を取っていない。ファンディングコストと呼ばれる、オーバーナイト(翌日まで持ち越し)したときに建玉手数料をもらっている。手数料主体の海外とはビジネス構造が異なっている。

 今後は、取引量に対して手数料をいただく方向を考えている。日本では、ほかの会社も手数料を取っていないので、後発であるわれわれも取っていなかった。今回、手数料を取る形にして試行錯誤している。

 流動性があまりなさすぎると、取引したいときに思った価格で取引できなくなるので、レバレッジ取引を提供している銘柄、例えばビットコインなどでは(常時気配値の提示を行う)マーケットメイクも多少入れている。どちらかというと、板自体をキープすることや、ロスカットの際に板がないと次の刻みが大きく離れてしまい、お客さまが損をしてしまうことを防ぐのが目的だ。

 現在、収益の半分以上は販売所のビジネスだ。しかし、今後スプレッド(売買の価格差)は小さくなっていかざるを得ない。基本的には、お客さまが喜んでもらえるものを提供して、そこでわれわれも収益を作り出せるモデルを考えている。

 我々はロングテール。細かく広く顧客を取っていく。これまでの状況を見ると、市場が大きく動いたときに口座開設数も増える。価格が大きく動いたときに取引したい人がいるからだ。しかし、口座開設が集中するとスタックしてしまいスピーディに口座開設ができず、取引したいときにできなくなる。ユーザーがいざというときに取引できるように、普段から口座を増やしてもらうことを目指している。

2017年の暗号資産バブル期に事業をスタートしたGMOコイン。口座数は順調に伸び、2020年6月時点で31万9000口座となっている(GMOフィナンシャルホールディングス決算資料より)

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