土肥: チカラが足りない編集者を「なんとかすることができないか」と考え、門外不出の編集マニュアルを公開することにしたのですか?
柿内: はい。経験やチカラが足りない編集者は、成長するまで待たなければいけないのか。編集の方法論などを伝えることで、時間を短縮することはできないか。再現性のある項目を参考にして動けば、一定の成果を出すことができるのではないか。編集マニュアルを公開するのは問題なかったのですが、それは自分用につくったもの。「自分だけの考えを押し付けるのはよくないなあ」と思ったので、メンバーの声も反映することにしました。
編集部のメンバーも仕事をしていく中で、さまざまな知見がたまっているはず。私が気付いていないノウハウが必ずあるはずなので、そうした知見も共有してもらうことにしました。結果、自分の考えだけでなく、メンバー全員の考えを合わせて、ひとつの形にしました。
土肥: メンバーからは、どのようなコメントがありましたか?
柿内: チカラのある編集者は、きちんと言語化することができているんですよね。なぜこの本をつくっているのか、どういった意図でつくっているのかといったことを説明できていました。きちんと自分の言葉で語れることは、再現できることでもあるんですよね。
一方、経験やチカラがまだ足りない編集者は、言語化できていない。感覚でつくろうとしていて、質問をされても抽象的な答えが返ってくる。「なんとなく流れでつくっている」感じがして。じゃあ、そうした人たちにどのように対応すればいいのか。そこで、書籍のタイトルのつけ方や企画の立て方、見出しのつけ方、売り方などを具体的に伝えていきました。
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