出版界で働く人たちにとって、共通した悩みがある。「部数減」だ。もう耳にタコができるくらい聞き飽きたかもしれないが、改めて出版界の統計を見てみよう。
全国出版協会のデータによると、書籍は1996年をピークに下落している。もちろん、売れている本もある。漫画『鬼滅の刃』は累計8000万部(7月現在)を超え、田中みな実さんの写真集『Sincerely yours...』も売れに売れた。ビジネス書に目を向けても、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』『メモの魔力』などを手にした人も多いのでは。
しかし、である。将棋の羽生善治さんが七冠を独占したり、Yahoo! JAPANがサービスを始めたり、任天堂がNINTENDO64を発売したり。その年から、書籍の部数減に歯止めがかからないのだ。
そんな状況の中で、ヒット本を連発している編集者がいる。アスコムの柿内尚文さんだ。「3万部売れればベストセラー」と言われている時代なのに、彼が企画した本のうち50冊以上が10万部を超えていて、累計1000万部以上売れている。市場が大荒れの中で、なぜヒット本を相次いで出すことができるのか。その秘密について、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則が聞いてみた。
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