さて、ここでもう少しはっきりさせておかなくてはいけないのだが、新型レヴォーグにおいては、安全を担保する基本機能としてのアイサイトがベースにあり、これにアドオンされるオプションのADAS機能として、アイサイトXが追加される構造になっている。ここを理解しないと、全体の話がこんがらがってしまう。
さて、アイサイトXの一通りの機能を試して思ったのは、「これならもうレベル3以上は要らないのではないか?」ということだ。もちろんそれは後にもっと進んだシステムに接すれば、「ああ、こういう進化の仕方があったのか」ということになるのだと思うが、今の率直な気持ちとしてはこれで十分である。
質的に最も変わったのは、スバルが「機械にやらせる決意」を持ったことだった。ツーリングアシストの時点では、「迷ったら機械にやらせない」あるいは「わずかでもリスクの可能性があるなら機械にやらせない」だったのが、「安全にできるのなら可能な限り機械にやらせよう」に変わった。われわれはその恩恵を受け、高速道路で、ADASの多大なサポートを受けながら運転できる。操作の大部分を機械に任せ、運転業務全体の中で、重要度が高い部分、例えば安全確認により多くのリソースを割くことができる。
さてここからの説明が難しい。アイサイトXで追加された機能だけでもかなり多い上、ベースとなるアイサイトとの合わせ技もあって、これを文字だけで解説し続けたとして、辛抱して最後まで読み切れる人はいないと思う。というわけでアイサイトXの機能解説はお手数だがYouTubeで検索してほしい。数多くの同業者がこのテストの動画を上げているので、そっちの方が100倍分かりやすいだろう。以下機能のみを列記して、本記事では、なぜそういう機能が実現できたかに焦点を絞りたい。
- ウィンカー操作による自動車線変更
- 斜め後方車両検知による自動車線変更抑制
- 斜め後方車両検知による手動車線変更警告
- 料金所自動減速
- コーナー進入時の適正速度への減速
- 時速50キロ以下でのハンズフリー
- 渋滞再発進での自動発進
- 脇見状態での再発進抑制
- ドライバーの異常検知と自動車両停止
- アイサイト 分かりにくい誠実と分かりやすい不誠実
スバルがレヴォーグに「アイサイト・ツーリングアシスト」を搭載。都内で行われた試乗会でこのツーリングアシストをテストした筆者はとても混乱した。それは……。
- レヴォーグで提示されたスバルの未来
シャシー性能に注力したスバルの改革は、本当にスバルに相応しい戦略だ。すでに何度も書いてきているが、フラット4の余命はそう長くない。CAFE規制の今後を見れば、少数生産の特殊エンジンとして生き残ったとしても、いつまでも主力ではいられないだろう。その時「スバルの走りとは何か?」と問われたとして、このレヴォーグのSGPセカンドジェネレーションには十分な説得力があり、スバルがスバルでい続けられる理由が相当に明確になった。
- 好決算のスバルがクリアすべき課題
今回はスバルの決算が良すぎて、分析したくてもこれ以上書くことが無い。本文で触れた様に、研究開発費は本当にこれでいいのか? そして価格低減の努力は徹底して行っているのか? その2点だけが気になる。
- スバルはこれからもAWD+ターボ+ワゴン
スバルは東京モーターショーで新型レヴォーグを出品した。レヴォーグはそもそも日本国内マーケットを象徴するクルマである。スバルは、日本の自動車史を代表するザ・ワゴンとして、レヴォーグはGTワゴンという形を死守する覚悟に見える。
- 変革への第一歩を踏み出したスバル
新広報戦略の中で、スバルは何を説明したのか? まず核心的なポイントを述べよう。今回の発表の中でスバルが「次の時代のスバルらしさ」と定義したのは、従来通りの「安心と愉しさ」で、その意味において従来の主張とブレはない。従来と違うのは、その「安心と愉しさ」とは何なのかについて、総花的にあれもこれもありますではなく、もっと具体的言及があったことだ。
- スバルよ変われ
スバルが相次いで不祥事を引き起こす原因は一体何なのか? スバルのためにも、スバルの何が問題なのかきちんと書くべきだろうと思う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.