クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

レヴォーグで提示されたスバルの未来池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)

» 2020年08月24日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 昨秋の東京モーターショーでベールを脱いだ、新型レヴォーグのほぼ生産型といえるプロトタイプに試乗する機会を得た。

 クルマに乗って、スラロームコースをゆっくり走っただけで、とんでもないその進化の片鱗(へんりん)は感じ取れた。速度を上げる。びっくりした。新旧のレヴォーグは、産業革命以前と以後くらい違うものだった。

スラロームや制動、定常円旋回などが組み合わされたハンドリングテストコース。写真は制動テストの部分

スバルは変わった

 思い返せば、筆者は2019年2月に「スバルよ変われ」という記事を書いて以来、スバルに対して説教のような記事をシリーズ的に書いてきた。

 どうやら、もうそういう記事を書く必要はなくなったのかもしれない。特に「続・スバルよ変われ」の前後編で、語るに語れないまま、誠実にあの時点で言えることを伝えてくれたSTI社長兼スバル技監(当時)である平川良夫氏の言葉の意味が、新型レヴォーグに乗った今、氷解するように思えている。つまり「スバルは変わった」のだ。それも意思を持って。

 平川氏のインタビューからポイントを抜き出そう。

 今スバルが始めているのは、私が10年以上前に提案した方法なんですけれど、普通はフロントストラクチャー、サイドストラクチャー、センターストラクチャーっていうストラクチャー単位で作ります。この骨格をインナー面とアウター面で最初に接合してからセンターストラクチャーにくっつけると面でしか接合できないんです。インナーの骨格を先にセンターストラクチャーに組み、あとからアウターと合わせるやり方、インナーボディコンと呼んでいますが、これだと強度が上げられます。〜中略〜そのやり方だとアウター側のパネルのパッケージの自由度が上がります。

 この時、ぼんやりと提示されていた新時代のスバルについて、追加の説明が加えられたのは2020年1月20日の「SUBARU技術ミーティング」だった。

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