中国は空前の猫ブーム。中国ネコノミクスが生んだ、利回り10%の「エア猫投資詐欺」浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(2/5 ページ)

» 2020年09月10日 16時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

 喵喵は人民元をチャージして仮想猫を購入し、有料の餌で一定期間育て、別のユーザーに転売するゲームだ。転売の際には元本と最低10%の利息を受け取れるとうたい、プラットフォームには猫の画像、品種、生育日数のほか利回りや1日の餌代も表示されていた。

 インターネット広告では「高利回り」「低リスク」「楽して儲ける」などと表示され、「利益モデルはネットワークビジネス。ユーザーAが1万元払って猫を育て、ユーザーBがより高値で買い取る仕組み。利息は最低でも1000元で、転売が成立すると過去の飼育者全員に利益が配分される」と説明されていた。つまり、「仮想猫」を媒介したねずみ講だが、判明しているだけで被害者は6000人を超える。「喵喵」の1人当たりの平均被害額は2000〜3000元(約3万〜5万円弱)と比較的低額だが、総額では数億円に上ることになる。

飼い主の半数が「20代」「独身」

 「喵喵」は、中国人の「猫好き」と「投資好き」の2要素を巧みに取り組み、若年者相手に短期間で荒稼ぎした詐欺といえる。

 中国では都市部を中心に、動物が「食べる対象」だけでなく「飼う対象」になったのは2010年代だ。

 中国のペット情報サイト「狗民網」によると、中国都市部の19年のペット関連消費額は前年比19%増の2020億元(約3兆1000億円)に上り、中国で飼われている犬、猫の頭数は、18年に米国を抜いて世界首位に立った。

 ペット文化の歴史が浅いことを反映して、飼い主は20代と独身がそれぞれ半数を占め、88%が女性だという。調査は、中国で飼われる犬・猫が24年に2億4800頭に達すると予測する。

 世代や住宅事情を背景に、飼われる動物は猫が犬の8倍に達するという調査もある。18年のペット産業白書によると、同年時点で猫関連消費はすでに1000億元(約1兆6000億円)を上回っている。

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