仮想猫投資詐欺の被害が拡大したもう一つの要因は、中国人の投資意欲の高さだ。
中国では大学生のクラスの雑談で株の話がされるほど投資が盛んで、コロナ前の日本の不動産市場の上昇にもチャイナマネーが貢献していた。
どの国でも社会現象やブーム、政策に絡んだ犯罪は必ず出てくるが、中国の場合は高利回りをうたった「投資詐欺」に結びつくことが多い。
特に「仮想猫投資詐欺」には、「ネコノミクス」以外にいくつかの伏線があった。
一つは「CryptoKitties(クリプトキティ)」(リンク)という前例だ。17年にリリースされた猫交配ゲームのクリプトキティは、交配で生まれた猫を暗号通貨で売買するシステムで、仮想猫に現実世界での交換価値を持たせた。ブロックチェーン上で運用されるクリプトキティでは、生まれた猫が「唯一無二」という点がウリで、希少性によって価値が変わる。18年には当時のレートで1匹2000万円近い売買が成立し、仮想通貨界のニュースになった。
中国は仮想通貨を禁止している一方で、仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンを5Gや人工知能(AI)と並ぶ次世代技術と位置づけ、習近平国家主席が19年10月に国を挙げて推進すると発表した。その数カ月前には中央銀行の中国人民銀行が法定デジタル通貨「デジタル人民元」の開発を公表していたこともあり、昨年秋以降は国民レベルでのブロックチェーンという言葉が流行語になった。
結果としてブロックチェーン・デジタル人民元をキーワードにした投資詐欺が急増し、人民銀は「デジタル人民元」に関する発言のトーンダウンを迫られた。
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