日本を変える「テレワーク」
コラム
» 2020年09月11日 09時30分 公開

JR東が抱く“未来への危機感” 終電繰り上げ・定期券値上げ検討の背景とは?ライフスタイルの変化に対応(4/4 ページ)

[小林拓矢,ITmedia]
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定期券の値上げが示す鉄道の未来

 JR東日本では、紙の切符から「Suica」への移行、さらにはカード型SuicaからモバイルSuicaへの移行を促すために、ポイントサービスを充実させている。「JRE POINT」と呼ばれるこのサービスでは、乗車距離や定期券の購入金額によって、Suicaにチャージできるポイントがたまるようになっている。

 報道によると、今後は通勤定期券の値上げを検討するが、まずは来春までにオフピーク時間帯を設定。Suica定期券でオフピーク時間帯に鉄道を利用した人にポイントを付与、また定期券以外で同じ区間を一定の回数以上利用した人にポイントを付与するという。また、混雑しない時間帯のみ使える、割安の「オフピーク定期券」を導入するという。

 コロナ禍以降定期券の収入が大きく減り、回復のめどは立っていない。一方、JRの定期券は割引率が高い。例えば、新宿〜三鷹間は片道220円。定期券は1カ月6580円だ。1日1往復するとして、15回往復すれば元が取れてしまう。およそ50%の割引率となっている。

 一方、並行する京王電鉄の割引率は37.6%である。だいたい20回以上往復しないと割に合わない。テレワークが普及する中、毎日通勤する人の定期券を非常に安く設定していると、利益につながらないという現状がある。定期券を利用して毎日通勤する人には応分の負担を要求する一方で、そうではない利用者には定期券の利用から普通運賃での利用にシフトさせたいという意図が感じられる。

 Suica利用でのポイントサービスを充実させたり、定期券の値上げを行ったりする狙いは、利用客の行動の変化に対応することだ。終電の繰り上げも、工事の時間を増やすということが理由としてはあるものの、もし深夜時間帯の利用者が多かったら無理して人を増やすという対応があってもおかしくはない。そうではなく、人々の仕事や生活のスタイルが変わる中で鉄道利用が減っている現実があり、今後もその状況が続くと見通している。

 人口減少社会の中、いずれ大都市圏の鉄道でも利用者減が起こることは予想されていた。しかし、それが大きく前倒しされるとは、コロナ禍の前は誰も思っていなかった。JR東日本は、未来を厳しく見ている。

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