人事を「採用業務」から解放する? 一石二鳥のリファラル採用、成功のカギ「コネ採用」との違いは?(2/3 ページ)

» 2020年09月17日 05時00分 公開
[鈴木 貴史ITmedia]

人事もIT化する時代が来た

 さて、前述のように「採用」だけではなく「エンゲージメント」を高める必要がある中で、人事はHRテクノロジーを活用してより戦略的な思考を持つ必要があると考えています。勘と経験に頼るだけではなく、ITを活用して分析や未来予測をし、同時に活用して業務の効率化を進めていくことも求められるでしょう。

 近年ではHRテクノロジーが隆盛となっています。19年度のHRテッククラウド市場は349億円となり、2024年度には1700億円の市場規模にまで成長するとも予測されています。そんな中、採用管理を効率化しながら、育成・定着といったエンゲージメント向上に寄与するHRテクノロジーの一つが「リファラル採用サービス」です。

「HRテック」市場は右肩上がり(出所:国内HRTechクラウド市場の推移・中期予測、ミック経済研究所調べ)

リファラル採用のそもそも

 リファラル採用とは、社内外の信頼できる人脈を介した採用手法です。従来のように人事部だけが採用をするのではなく、社員を当事者として巻き込み戦略的に採用活動をする点に特徴があります。

 現場が採用活動をすることでよりマッチした人材を見つけることができ、応募からの決定率など採用効率が極めて高いことがポイントです。決定率はおよそ求人媒体の20倍、人材採用サービスの4倍とも言われており、その分人事の工数や面接回数が減り、採用業務を効率化できます。また、求職者は現場のリアルな声を聴いて入社するためミスマッチが少なく、周りに知り合いがいることでなじみやすいため離職率が低いともいわれています。

 富士通や日立製作所をはじめリファラル採用に取り組む企業が増えてきており、「マイナビ 中途採用状況調査2020年版」によると、リファラル採用の導入率は6割を超えています。

リファラル採用は「コネ採用」か?

 リファラル採用と聞くと「コネ(縁故)」を想起する人も多いのではないでしょうか。混同されがちなこの2つですが、私は次のように定義しています。

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