減損テストから見る、コロワイドが新潮にブチ切れた理由(後編)専門家のイロメガネ(3/4 ページ)

» 2020年09月22日 07時00分 公開
[村上裕一ITmedia]

会計監査人の交代はむしろ正しい

 デイリー新潮の記事では、のれんの超過収益力についてコロワイドと会計監査人の見解の相違があり、それを理由に会計監査人が変更されたと読み取れる内容も掲載されている。

 これに対してもコロワイドは、「長年に亘り当社の会計監査人を担って頂いたあずさ監査法人とも円滑に監査契約を終了しております」と反論している。

 記事では「コロワイドは、コロナ禍での減損会計厳格適用緩和要請を盾に強く主張した」と書かれているが、コロナ禍によって減損会計の緩和が行われたわけではない。

 コロナ禍の影響が日本で見られ始めた時期に、新聞などで減損会計の緩和に関する報道がなされていたのは事実であるが、その翌日に日本公認会計士協会より「会計ルールの弾力化に関する報道の内容については、当協会から発したものではありません」と明確に否定している。つまり実際にはコロナ禍によって減損の会計ルールの緩和は行われていないのだ。

日本公認会計士協会は「会計ルールの弾力化に関する報道の内容については、当協会から発したものではありません」と否定している(日本公認会計士協会 Webより)

 さらに、のれんの超過収益力に対する意見の相違が、会計監査人交代のきっかけとなったという指摘についても会計士の視点から見て違和感がある。

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