老舗銭湯、逆転発想で「密を見える化」 広告代理店から転職、異色の“銭湯革命児”がひらめいた秘策オフピーク銭湯(3/3 ページ)

» 2020年09月29日 08時00分 公開
[秋山未里ITmedia]
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 SNSの活用でも、プラスの効果があった。Twitter上での交流がきっかけで、酒粕や出荷基準に満たない果物など、生産過程で捨てられてしまう材料を日替わり風呂や週替わり風呂に利用する「もったいない風呂」の運営を始めた。農家などの生産者は食品ロスを減らせるし、小杉湯の店頭で関連商品も販売できる。小杉湯側は入浴剤の料金を節約でき、利用者もさまざまな風呂に入れる。

 現在はもったいない風呂の取り組みを大きくするために注力しており、年内には入浴剤を買うことがなく、100%もったいない風呂の運用に切り替える方針だ。

photo 取材時には沖縄県名護市とのコラボで「シークワーサー風呂」と「泡盛風呂」を実施していた

100年続く銭湯に

 菅原さんは、小杉湯で“チーフストーリーテラー”という肩書を持つ。「ストーリーは作るものではなく、実際に行われていることを“語る”ものです」

 「ブランドメッセージが現場の実態と合わないような企業も多くある中で、メッセージと実態を一致させることはとても重要だと思います。そのためバックオフィスでの人の雇用の仕方、お金の使い方、お客さまへのサービスなどの詳細を含めてブランドだと考えて、幅広く取り組んでいます」

 特にバックオフィスのシステムは、この先も小杉湯が続いていくための「一番下の地層にあたる」と菅原さん。「小杉湯のブランドをこの先100年続くものにすること」を目標に、「変わらず続いていくための変革」に取り組んでいる。

photo 小杉湯の建物は登録有形文化財となっている
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