ざっくり言ってしまえば、これらは「SDGsという、なにやら道徳的なメッセージをテーマとした協同企業広告」のラッピングトレインである。後述するように、このSDGsというワードが、鉄道業界だけではなく、社会に急速に浸透し始めている。いや順序が逆か。SDGsが社会に浸透するなかで、鉄道業界の取り組みも始まった。
正直に言うと、訳の分からないローマ字略語が世の中にあふれ出して、なんだか気味が悪い。首相官邸が公表する「SDGs 実施指針」によると、2019年時点で日本人の4人に1人が認知している言葉だという。いったいSDGsとは何か。なぜはやり始めたか。誰がはやらそうとしているか。
SDGsは、SDGsトレインの車体にも書かれた「"S"USTAINABLE "D"EVELOPMENT "G"OAL"S"」の略だ。日本語では「持続可能な開発目標」と訳される。15年に国連が採択した「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(検討課題)」で、16年1月1日に発効した。アジェンダはビジネス分野で「提案内容」という意味でも使われているようだが、国連のアジェンダは「取り組むべき課題」という確固たる信念を示す。
その目標は17項目。それらを達成するための具体的なターゲット(目標)は169に及ぶ。それら全てを書き示すと膨大な文字数になる。詳しくは検索していただきたい。手掛かりとして、この言葉の根元は「国連広報センター」だ。また、ざっくりと鉄道業界がSDGsに沿っていると確信する根拠は「鉄道・運輸機構(JRTT)」が参考になる。
参考図書として、みくに出版の『SDGs 国連世界の未来を変えるための17の目標: 2030年までのゴール』(日能研教務部編集)がとても分かりやすかった。SDGsの成り立ちや周辺の知識もまとまっている。それにしても、私学の試験問題にまでSDGsが登場しているとは驚きだ。環境と社会を正しく理解するために大切な学問になっているようだ。
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