小さくなったカセットコンロ「タフまるjr.」は、なぜ2倍ペースで売れているのか水曜インタビュー劇場(ジュージュー公演)(4/6 ページ)

» 2020年10月07日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

ボンベの売り上げに課題

土肥: タフまるjr.の開発は昨年の夏ごろから始めて、今年の8月に発売を開始しました。その間に新型コロナウイルスの感染が広がりましたが、そのことに不安を感じることはなかったですか? 自粛が広がって、「焼き肉どころではないだろ」といった感じで、カセットコンロが売れなくなるとか。

多田: いえ、そうした不安はありませんでした。アウトドアを楽しむ人が増えてきたこと。そのアウトドアでカセットコンロを使う人が増えてきたこと。親のカセットコンロが売れていたこと。また、コロナ禍でも順調に売り上げを伸ばしていること。さらに、これは直観になるのですが、サンプルが完成したときに「このデザインはいい。いける!」と思ったこと。こうした背景がありまして、「順調に売れるのではないか」と思いました。

土肥: イワタニのカセットコンロといえば、「家で鍋をするときに使う」といったイメージが強いのですが、これからはタフまるのようにアウトドア用にもチカラを入れていく予定でしょうか?

多田: 当社はカセットコンロを手掛けて、昨年50周年を迎えました。その間の大半は「カセットコンロ=鍋」のような形でアピールしてきました。ただ、課題もあったんですよね。「鍋=冬に食べる」ということで、ボンベの売り上げに偏りがありました。秋冬になれば売れるのですが、春夏に低迷する。その差はものすごくあったんですよね。この差をどうしたら縮めることができるのか。

 いろいろ考えた結果、付属品として扱っている焼き肉用のプレートに着目しました。カセットコンロを販売するときに、プレートを付ければどうなるのか。そのプレートを使って、夏に焼き肉をしてくれるかもしれない。一度食べると、もう一度使ってくれるかもしれない。このような仮説を立てて、6年ほど前からカセットコンロにプレートを付けて販売することに。すると、どうなったのか。夏にカセットコンロを使う人が増えてきて、ボンベの売り上げが伸びてきました。

土肥: 「アウトドア用のカセットコンロを発売したら、たまたま売れたじゃないか」といった話ではないわけですね。「キャンプ人口が増えた=利用者が増えた」だけでなく、6年ほど前から「夏に焼き肉を楽しんでくださいね」といった取り組みをしたことで、じわじわ広がっていったわけですね。

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