土肥: 多田さんの話を聞いていて、タフまるシリーズが売れている背景はよーく理解できたのですが、ここで疑問が一つ。タフまるjr.はコンパクトなサイズが受けていると思うのですが、イワタニから同じようなサイズの商品を出していますよね。その名は「プチスリム」。
タフまるjr.のサイズを見ると、幅28.6×奥行19.25×高さ12.2センチに対し、プチスリムIIは幅27.9×奥行18.5×高さ8.5センチ。ほぼ同じサイズなのに、タフまるjr.は話題になっていて、売れている。一方のプチスリムIIは失礼ながら、あまり話題になっていない。この差は、どこに原因があるのでしょうか。
多田: プチスリムの前身の商品を1998年に発売していて、そのころから「外出先で使ってくださいね」とアピールしてきました。また、一人暮らしの方であったり、家のテーブルが狭かったり、そうした人にこのサイズはピッタリだと思っていました。
その後、コンビニなどで一人用のおでんやうどんなどが増えてきました。スーパーでは鍋セットの横などで置かせていただきました。このほかにも、さまざまな施策を打ってきたものの、なかなか結果がでなかったんですよね。これではいけないということで、何度もモデルチェンジすることに。「アウトドアのニーズはあるだろう」ということで、持ち運びができる設計にしたものの、爆発的なヒットになりませんでした。
家用としてはなかなか根付かなかったのですが、業務用としては売れました。例えば、居酒屋。鍋料理などを提供されるときに、この商品をご利用いただいています。
土肥: 同じようなサイズの商品が苦戦していたのに、なぜタフまるjr.は受けたのでしょうか?
多田: ターゲットを明確にしたからではないでしょうか。プチスリムは家でも使えて、外でも使えて。一人用でも使えて、家族でも使えて。といった形で、多くの人に使えることを訴求してきましたが、タフまるjr.は違う。ターゲットを明確にしたので、商品を目にしたお客さんは「これは、自分にとって必要だ」「このようなシーンに使おう」といった感じで、イメージしやすかったのではないでしょうか。
土肥: 商品を売る場合、「誰に・何を・どのように」――この3つがポイントになるかと思うのですが、このアイテムは「誰に」の部分で消費者の心をつかんだわけですね。
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