自らが与信の仕組みや融資を実行する仕組みを構築できるIT系の大企業ならば、メルカリやLINEのように金融サービスを開発して提供できるだろう。しかし、金融の仕組みを構築するのは多大な資金とノウハウが必要だ。
Crezitも創業直後にシステムベンダーから、金融系サービスのパッケージのセールスを受けたことがあるという。そのときいわれたのは、初期コストだけで数億円だ。さらに融資を行うとなると、貸し出しのための資金も調達しなくてはならない。多くの顧客と与信に使えるようなデータを持つ企業でも、金融、特に融資事業への参入ハードルは高い。
CrezitがいうCredit as a Serviceとは、こうした企業が利用できる金融サービスを提供することだ。「自分たちで実際にお金を貸すサービスを作って、必要なモジュールを作りこんでいく。そして、金融サービスを提供したい企業やチャレンジャーバンクに、個人向け融資の機能を提供していきたい」と矢部氏は話す。
企業は個人向け融資を自社の顧客に紹介する。Crezitがその顧客のデータを受け取って与信を行い、融資可能であれば融資を行う。金利収入のうちの一部を、企業に支払うというモデルだ。
現在、自社で個人向け融資のサービス「CREZIT」を開発、提供し、必要なデータやノウハウの蓄積を進めている。「貸し倒れ率の業界平均は2〜4%程度。同じくらいの貸し倒れ率を目指している。信用情報機関のデータも見て、追加のデータを使い、既存の金融機関が融資できない顧客にもサービスを提供していく」(矢部氏)
Credit as a Serviceのニーズが高い業界としては、当初クラウドソーシング業界などを見込む。また、結婚式や旅行、自動車ローン、引っ越し費用など、割賦販売業界が強い領域にもチャンスがあると見ている。
将来は「新しい信用情報機関を創造したい」と意気込む矢部氏。旧態依然とした個人向け融資の業界を変えていけるかが注目される。
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