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みずほFG「週休4日制」でサラリーマンに強いられる真の変化とは“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)

» 2020年10月14日 08時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]

 みずほフィナンシャルグループが導入を決めた週休4日制が波紋を呼んでいる。会社側は空いた時間をスキルアップ学習などに充当することを想定しているが、多くのビジネスパーソンは基本給が大幅に下がるところに目が行ってしまう。この制度を導入する真の狙いはどこにあるのだろうか。

photo 週休3〜4日制度、果たしていいことばかりか(写真はイメージ。提供:ゲッティイメージズ)

総人件費削減という狙い

 みずほフィナンシャルグループが導入するのは、希望する社員が週休3日もしくは4日で働けるという制度。現在、同社は多くの他社と同様に土曜日と日曜日が休みだが、この制度を使った社員は土日に加えて毎週決まった曜日を休みにできる。

 会社側は、資格学校や大学院への通学など社員がスキルアップの目的で制度を利用することを想定している。子育てや介護目的で利用することも念頭に置いているだろう。家族の誰かが要介護となり、退職に追い込まれる人は多い(いわゆる介護離職)。育児・介護休業法によって介護休暇が定められているものの、要介護レベルによっては、こうした制度を使っても十分に対応できないケースは多い。ここに週休3日もしくは4日の制度が加われば、社員の負担はかなり軽減されるはずだ。

 しかしながら、この制度を利用した場合、賃金は大幅に安くなってしまうという欠点がある。具体的には週休3日の場合基本給は8割に、週休4日の場合には6割に下がるので、休んだ分がそのまま減給されるというイメージだ。出勤した日だけ無理に残業するというわけにはいかないので、年収ベースでも大幅に賃金が下がる可能性が高い。

 賃金という観点からこの制度を眺めた場合、自由な働き方とは異なる狙いも浮かび上がってくる。それは総人件費の抑制である。

 メガバンク各行は現在、大規模なリストラの最中である。量的緩和策による低金利が続いていることから、融資で利ざやを稼ぐことができなくなっており、一部では逆ざや(調達金利よりも貸出金利が安くなること)も生じている。特にみずほの場合、店舗網の合理化や海外戦略において競合2行よりも出遅れており、コスト削減は必須である。

 加えて、銀行業界は業務のIT化が急ピッチで進んでおり、事務職を中心に大量の人材が余剰となりつつある。社員個別の賃金はもちろんのこと、経営側としては総人件費の抑制が重大な命題となっているのだ。

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