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» 2020年10月16日 07時00分 公開

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:JR東日本がトヨタと組む「燃料電池電車」 “水素で動く車両”を目指す歴史と戦略 (4/5)

[杉山淳一,ITmedia]

実用化されていなかった「燃料電池電車」が実は本命

 JR東日本は非電化区間の次世代動力として「ハイブリッド気動車」「燃料電池電車」「蓄電池電車」を試験し、このうち「ハイブリッド気動車」「蓄電池電車」を実用化した。残る「燃料電池電車」の開発深度化のために、トヨタ自動車という強力なパートナーを得た。燃料電池車時代のクモヤE995形と新型のFV-E991系を比較すると、水素貯蔵容量は410リットルから1020リットルへと増大した。最高速度の時速100キロと加速度2.3km/h/s(キロメートル毎時毎秒)は変わらず、航続距離は50〜70キロから約80〜140キロとなった。航続距離約600キロの特急用気動車には及ばないものの、ほとんどのローカル線に対応できそうだ。

クモヤE995形と新型のFV-E991系の性能比較表(出典:JR東日本報道資料、2019年6月4日付)

 もう一つ、JR東日本の非電化区間用の車両として「電気式気動車」がある(関連記事:古くて新しい、JR東日本の「新型電気式気動車」)。ハイブリッド気動車の蓄電池を省略し、走行に必要な電力をエンジン発電機からリアルタイムで供給する。18年に「GV-400系」が製造され、19年から新潟地区に導入。20年12月からは秋田地区に導入される。JR北海道もH100形として20年から運行を開始。国鉄時代からの古い気動車を置き換えていく。

 ディーゼル発電機でモーターを回す仕組みは古くからあって、国鉄時代のディーゼル機関車でも採用されていた。いわばこなれた技術で、ハイブリッド気動車から蓄電池を抜いたというより、電気式気動車に蓄電池を加えた車両がハイブリッド気動車といえる。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊モータージャーナル」を連載している池田直渡氏が指摘するように、現在のバッテリー供給体制には課題がある(関連記事)。JR東日本がローカル線のハイブリッド気動車を電気式気動車に切り替えた理由もこのあたりかもしれない。

 ただし、電気式気動車といえども、ディーゼルエンジンを搭載する限りゼロエミッションには到達できない。電気式気動車は燃料電池車両普及までの、過渡期の車両といえそうだ。

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