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「存在意義がなくなる」と不安、社内のデジタル化を阻むヒトたち 不安を解くには?連載・デジタル時代の人材マネジメント(2/4 ページ)

» 2020年10月20日 07時45分 公開
[内藤琢磨ITmedia]

 1つ目はデジタル化によりビジネスの在り方だけではなく、会社をどう再定義するのかという課題である。2つ目は、既存のITシステムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中では、新しいデジタル技術を導入したとしてもデータを十分に活用しきれず、データの利活用・連携が限定的であり、その効果も限定的となってしまうというIT システム基盤上の課題である。

 そして、これら2つの課題を解決する上で組織とヒトが大きな抵抗勢力となって立ちはだかっている。

 会社に限らず、社会に存在するあらゆる組織体には、改革や変革を阻む抵抗勢力が存在する。ロバート・キーガンとリサ・ラスコウ・レイヒーは、著書『Immunity to Change』(邦題「なぜ人と組織は変われないのか」英治出版、2013年)の中で、どうしてヒトは本当に望んでいる変革を実現できないのかという点について、ヒトには「変革を阻む免疫機能が存在する」と論じている。

 デジタル化はヒトに対して程度の差があるものの、変革への期待と同時に不安や恐れをもたらすものであるといえるが、それをあらわにするヒトもいれば、うまく対処し行動を取れるヒトもいる。またうまく対処し行動する場合でも、そのやり方は千差万別である。

 デジタルに対する情報格差も存在する上に、個々人の理解力の差、不安や恐れに対する感情コントロールの差、さらには仕事に対する取り組み姿勢の差も存在するからである。

 ヒトは程度の差はあるものの、「デジタル化がもたらす変化に自分自身が対応できるだろうか」「デジタル化によって自分自身の仕事や役割の存在意義がなくなってしまうのではないか、仕事自体がなくなってしまうのではないか」といった不安と向き合わざるを得ない。

 こうしたヒトが有する免疫機能に対して、日本企業の多くの経営層はその構造を深く理解しようとせず、対応するための具体的な手だてを打とうとしない。

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