西松屋が「次のワークマン」になれる理由しまむらとも似ている(5/6 ページ)

» 2020年10月26日 05時00分 公開
[小島一郎ITmedia]

コロナ禍による「郊外シフト」が追い風に

 足元では、郊外店舗主体の展開を進めていた西松屋は業績が好調だ。

 コロナ禍の影響によって、都心部のショッピングセンターなどから、郊外に消費者が買い物するエリアが移っている。そんな流れを追い風に、販売が好調に推移している。

 前述のワークマンやしまむら同様、優れたローコストオペレーションを武器にしていることもあり、損益分岐点が抑えられた運営をしている。そんな西松屋は、販売好調をそのまま増益につなげている。20年8月の中間決算では、前年同期の減益から一転、営業利益を3倍にしている。

 コロナ禍で消費動向が変わるなかで、業績好調な企業として注目されている西松屋。筆者は、優良チェーンストア企業として評価するだけでなく、そのポテンシャルに注目していた。

 しかし、残念ながら西松屋は自社のポテンシャルよりも、それまで築いてきたローコストオペレーションでのチェーンストアとしての規模拡大にフォーカスしていた。

 筆者は西松屋の決算説明会に継続的に参加し、業績動向をウォッチしてきた。決算説明会の場で、幅広い顧客創造について経営陣が話しているのを聞いた記憶はない。ワークマンのように、ターゲットとしていない層を取り込むことにはあまり関心がないようで、「もったいない企業」という印象が強かった。

 昨年の決算説明会終了後、現大村浩一社長の父親である大村禎史氏(現会長)に、筆者は「次のワークマンになるのは西松屋だと思っている」と伝えたことがある。その際は、「何を言っているんだろうな」という表情を浮かべていたことを記憶している。

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