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離職を防ぐ! 中小企業の「副業・兼業」導入ガイド一律禁止はムリ(2/3 ページ)

» 2020年10月26日 07時00分 公開
[企業実務]

 一方のデメリットは、「長時間労働による従業員の心身への影響や生産性の低下など本業への支障」「従業員の就業時間外の活動について責任所在が不明瞭のため……(略)、責任追及される法的・風評リスク」や「業務上の秘密漏えいや企業の信用毀損、本業との競業による損害発生等のリスクが高まる可能性」などが指摘されています。

 一方、従業員側のメリットは、「本業以外で所得を得ることができる」「社内では得られない知識・スキルの獲得」「社外でも通用する知識・スキルを研鑽(けんさん)することで労働・人材市場における価値が向上」「自分のやりたいこと(社会貢献活動、文化・芸術的活動等も含む)に挑戦・継続できる」等があります。

 デメリットとしては、「兼業・副業をしていることで、職務専念義務が疑われる」「本業における信用を失う可能性」とともに、「本業・副業間でのタスク管理が難しく、業務バランスの維持が難しくなる」ことが挙げられています。

副業のモデルケース

 副業のモデルケースでは、法人等を立ち上げ、事業として確立された成功事例が取り上げられることが多いです。しかし、このような例はごく少数であるという統計もあります。そのため、大上段に構えたものではなく、実態に即した副業を考えてみたいと思います。

 目覚ましいIT技術の発展により、マッチングサイトに登録することで、個人でも簡単に販売チャネルを持つことができるようになりました。またSNS等、インターネット動画による情報発信も可能です。

 これらから見えてくる副業の実像は、本業の就業時間外や休日を利用し、自身の趣味や特技、経験等をフリーランスとして、サービス提供するケースです(図表2)。

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 語学に長けた人が企業からの翻訳作業を請け負う、手先の器用な人がハンドメイド品をネット販売しハンドメイド作家としてデビューする、パソコンスキルに長けた人がデータ入力作業を請け負う、プログラミングの知識を有する人が企業からのホームページ作成やスマートフォン、タブレットのアプリ開発作業を請け負う等が、現実的な副業として想定されます。

実務上の留意点

 これらを総括し、実務上の留意点を考えてみましょう。厚労省のガイドラインで指摘されている通り、労使双方の十分な話合いと、その後の管理が重要なポイントとなります。

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