テクノロジーを活用した不動産の企画開発を手掛けるタスキ(東京都港区)は11月1日、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める新部署「DX戦略研究室」を設立した。この部署では、スマートフォンを活用した不動産価値流通プラットフォーム「タスキTech」の開発に取り組む。タスキTechは、AI(人工知能)によって投資用不動産の価格がマップ上で分かるようになる機能だ。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、非対面コミュニケーションが一気に進み、あらゆる業界でデジタル化が急速に進展している。しかし、不動産業界ではいまだに対面での契約が主流であり、押印が必要な書類が複数存在するなど、変革が遅れているとの指摘も少なくない。
同社の村田浩司社長に新部署設立の背景を聞くと、「旧態依然とした不動産の世界にDXの考え方を取り入れることによって、業界全体のさらなる発展に寄与するため」だという。
不動産業界は業務内容の多くをアナログな手法に依存していて、業界全体としてデジタル化が十分に進展していないことが大きな課題となっている。最近では、AIなどの先端テクノロジーを活用したサービスも増えてきており、変革の兆しが現れつつある。
「日本では、全国約35万社の不動産事業者の約8割が従業員数4人以下の小規模事業者です。大規模なシステムの開発や導入を自社単体で行うことは現実的ではありません。当社はそこに商機を見いだしたと同時に、自社のみならず不動産業界全体の発展と市場のさらなる拡大を目指し、不動産業界のテクノロジー活用を目指すDX戦略研究室を設立しました」(村田社長)
10月22日、政府は不動産取引に関する重要事項説明書の電子化を認める法改正案の提出を目指す方針を明らかにした。不動産業界では今後、デジタル化に向けた迅速な対応がより一層求められるようになる。
DX戦略研究室では、デジタル人材の採用や外部パートナーとの連携を進め、不動産価値流通のデジタル化を推進するサービスを生み出していくという。不動産DXの推進を武器に、高い成長性を市場に対して示すことができるか。
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