――10月から東京もGoToトラベルに加わり、遠方の旅にも動きが出てきたようです。
当社施設においては、大都市近郊では稼働が順調に回復していた一方で、離島を含む沖縄、北海道の戻りは遅れていた。10月に東京がGoToに加わり、遠方の施設の予約が伸びてきているのを実感する。背景として、飛行機や鉄道、タクシーなどの交通機関における、三密回避対策の徹底があり、移動への安心感が増したことが大きいのではないか。
宿泊施設もコロナの対策は徹底しており、7月8月に観光業において、大きなクラスターが発生しなかったことも、10月からの動きに寄与しているだろう。
――今後は、遠方への旅も順調に増えるのでしょうか。
コロナの状況次第だろう。この半年を振り返ると、予約状況とコロナの罹患数報道の間には相関がある。コロナの罹患数が増えれば、遠出を控え近場へという動きに切り替わることが予想される。マイクロツーリズムは、コロナの第二波、第三波が来た時の下支えになる。まずはマイクロツーリズム市場をしっかりと確保する。その上で遠方から来られるお客さまにも、安心して過ごしていただけるように、引き続き環境を整える。
――コロナがきっかけで生まれた市場の動きで注目しているものはありますか? 例えばJR東海は最近、定番の旅から時間や場所、移動手段、方法などをずらす“ずらし旅”を提唱しています。
ずらし旅は、ウィズコロナを機に、時期などをずらした旅の快適性や楽しみを知ってもらう機会になるのがいい。(消費者にとっては)少しタイミングをずらすだけでこんなに安くて快適に旅行ができるということに気づいてもらえる。
コロナ禍だからこその変化としては、テレワークが急速に進んだことに注目している。テレワークで仕事ができるという成功体験はワ―ケーションにつながり、コロナ後にも観光産業にとっては大きなチャンスになる。
――星野リゾートの各施設ではWi-Fiやラウンジの整備などワ―ケーションの環境整備に力を入れています。
今回新たに、リゾナーレ八ヶ岳では、テレワークゴンドラも導入した。ラウンジで仕事はできるが、会議に参加するとなると、会社の機密情報などの取り扱いもあり注意が必要だ。テレフォンボックスなど声が聞こえない環境が必要と考え、私のアイデアで、アルツ磐梯から利用していないゴンドラを運んで設置した。まずは八ヶ岳でトライし、うまくいったら全国へも展開をしたい。
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