北海道新幹線「函館駅乗り入れ」の価値とは? 80億円で実現可能、道内経済に効果杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/6 ページ)

» 2020年11月20日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 七飯駅から大沼方面の在来線は単線で二手に分かれ、片方が本線、片方が山岳迂回ルートの通称「藤城線(下り列車専用)」となる。逆に見れば七飯駅で2本の単線が合流して函館に向かうわけだ。しかしこの区間は札幌〜函館間の特急「北斗」が新幹線に移行して標準軌側を走るし、新幹線函館乗り入れが実現すれば「はこだてライナー」も不要だ。単線1本でも、貨物列車と各駅停車だけでやりくりできそうだ。

函館〜七飯間の複線の片側を新幹線用の線路とする

 現在の函館駅プラットホームは余剰となっているから、新幹線対応の1面2線のプラットホームを用意すれば、1時間に上下2本ずつの運行が可能になるだろう。

 線路改良計画はここまで。あとは信号と電力関連の改良となる。お気付きのように、全て既存の線路改良だけで済むから、用地買収は必要ない。もともと重量貨物が通っていた線路だから、路盤の増強もほとんど不要。フル規格新幹線よりもコストは低い。

 車両については秋田新幹線や山形新幹線のようなミニ新幹線規格車両になる。函館駅〜七飯駅は線路施設の改造費は少ない。なぜなら、除雪の都合上、架線柱や線路配置にゆとりを持たせているからだ。ミニ新幹線規格車両を通すための工事はプラットホームを削るなど最小限で済む。トンネルはないし、橋梁と複線間隔をクリアすればフル規格新幹線車両が直接乗り入れ可能かもしれない。

 ただし、もし三線軌条を複線のまま在来線と共用するならば、プラットホームを削るわけにはいかないからミニ新幹線車両が必要となる。やはり三線軌条区間は最小限に留め、函館駅〜七飯駅間は新幹線と在来線で1本ずつ使った方がいい。

新函館北斗〜七飯間の線路配置図
函館〜五稜郭間の線路配置図

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