北海道新幹線「函館駅乗り入れ」の価値とは? 80億円で実現可能、道内経済に効果杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/6 ページ)

» 2020年11月20日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

所要時間短縮より「乗り換えなし」の負担軽減効果

 東京〜札幌間の8両フル規格基本編成と、東京〜函館間の5両ミニ規格付属編成を連結し、新函館北斗駅で分割、併結する。従って新函館北斗駅の所要時間は長めで約4分を見込む。札幌〜函館間は5両ミニ規格付属編成でシャトル運行する。

 東京〜函館間の所要時間は現在の最速「はやぶさ13号」と函館ライナーの乗り継ぎで4時間26分。函館直通線でスイッチバックする場合は4時間17分。所要時間としては10分程度の短縮だけど、乗り換えなしという心理的身体的な負担の軽さは大きいメリットだ。

東京〜函館間の所要時間比較。スーパーはやぶさの例は青函トンネル問題解決を前提としている

 なお、JR東日本が開発している次世代新幹線車両「アルファX」技術が採用され、東北新幹線で時速350キロが実現すると、東京〜函館間は3時間31分になる。ここまでくると、東京駅〜羽田空港〜函館空港〜函館の3時間19分と変わらない。

 函館〜札幌間の所要時間は、函館直通線の場合で1時間14分の見込み。現在の新函館北斗乗り換えだと、乗り継ぎ列車待ちで10分程度の余分が生じる。ただし、「はこだてライナー」が本州方面からの接続を優先するか、札幌方面からの接続を優先するかで乗り継ぎ時間は増えるだろう。直通運転のメリットはダイヤ面でも大きい。

将来は函館〜札幌間を約60分で直行可能

 私も何度か新函館北斗駅で乗り換えを経験したけれど、エスカレーターや乗り換え口の行列、混雑に閉口した。同一プラットホーム乗り換えも可能な構造とはいえ、そんな乗り継ぎができる列車の組み合わせは少ない。また、はこだてライナーは通勤型車両で着席が保証されず、大きな旅行カバンを持って立ったままだ。約15分の乗車はうれしくない。函館空港からバスに乗った方がラクじゃないかと思う。

北海道新幹線、函館直通線のダイヤ予測。東京札幌間基本編成、東京函館間付属編成の動き

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