アイデア募集したら不正告発! 「政商」群がる? デジタル庁は大丈夫かスピン経済の歩き方(1/5 ページ)

» 2020年12月01日 08時07分 公開
[窪田順生ITmedia]

 デジタル社会をつくるために、皆さんからのアイデアをどしどし送ってください――。そんな呼びかけをしていたら、まさかこんな情報まで寄せられてしまうとは、平井卓也デジタル改革相も夢にも思っていなかったのではないか。

 菅義偉総理の肝いりで進められているデジタル庁の来年創設へ向けて、広くアイデアを募集するために設置された「デジタル改革アイデアボックス」に11月29日、「【内部告発】デジタル庁の設立過程に関する癒着と不正について」というタイトルで以下のような投稿がなされたのだ。

 『現状デジタル庁の設立に関する検討会の中に「自治体向けシステムを作っている大手ベンダー」がごそっと入り込んでいます。しかも彼らは、地方の自治体に対して「大手ベンダーだから検討会に参加できる。標準化といってもわれわれは切られない。」というようなことを「ご説明」にやってきています。つまり今回の自治体の標準化の検討は、実際には「人口減少社会に対応するために、無駄な競争を避ける縄張りの確定作業」なのだそうです』

総理肝入りの「デジタル庁」は、本当に大丈夫か

 ご存じのように、デジタル改革の一つの大きな目的は、国、自治体、民間がそれぞれ独自に整備してバラバラになっているシステムの統一・標準化である。しかし、投稿主によれば、それは建前であってホントのところは、デジタル庁創設に深く関与している大手ベンダーの既存システムへ粛々と寄せていくだけの話なのだという。それがどんなに非効率でも高コストでも、世界の潮流から取り残されたようなガラバゴス的なものであっても、「標準」とされることが既定路線。要するに、出来レースだというのだ。

 さもありなんな話である。「持続化給付金」の事務局を受託しているサービスデザイン推進協議会と、大手広告代理店の電通をめぐる疑惑が記憶に新しいが、国の事業を大手企業が「これはオレたちのシマだ」と言わんばかりに丸抱えして、「政商」として利権を拡大させていくことは「あるある」だからだ。

 デジタル庁は、長官も含めて多くの民間人を採用していくことを、平井大臣もおっしゃっている。ということは、それだけ「政商」が入り込む余地も大きい。彼らの主導権争いとして、投稿されているようなことが起きていても、なんら不思議はないのだ。

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