楽天の国内年間流通額の2倍、「独身の日」を支えるアリババの最新技術浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(4/4 ページ)

» 2020年12月03日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]
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AI翻訳活用のアバター販売員が消費者支援

 独身の日セールでは、アリババグループの最先端研究開発組織「DAMOアカデミー」によるクラウドを活用した実験的な取り組みも展開された。

 配送面では自立型物流を実現する配送ロボット「XiaomanLV」が、アリババが本社を置く浙江省杭州市の浙江大学に投入された。クラウドベースの経路最適化、エッジAIコンピューティング、画像認識などの技術を使い、浙江大学キャンパス内での配送を自動化する取り組みで、ロボットは1度の充電で100キロ走行でき、1日に500個を配達できるという。

浙江省杭州市の浙江大学に投入された配送ロボット「XiaomanLV」(提供:アリババクラウド)

 独身の日セールでは、注文だけでなく消費者から店舗への問い合わせも殺到する。今年登場したバーチャルキャスターサービスは、自然言語処理、音声認識、クラウドレンダリング技術を活用し、アバターが店員の代わりに24時間ライブ配信で商品紹介を行い、視聴者からのチャットと音声による質問に自動で返答したり、ゲームで遊ぶ機能を備える。

 また、今年のセールでは、海外旅行ができない消費者に国外から商品を販売する「越境EC」も活況だった。アリババのグローバル小売マーケットプレイス「AliExpress」はライブ配信とAI自動翻訳を組み合わせたサービスを提供。ライブコマース出店者による配信をリアルタイムで翻訳/字幕化し、グローバルな商品販売を支援した。

 セール期間中は出店者の70%が同機能を活用。中国は国土が広いため方言が多様で、中国人同士でも聞き取れないことも珍しくないが、アリババクラウドによると、AI自動翻訳はなまりも認識し、高精度の翻訳を実現したという。

筆者:浦上 早苗

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37

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