新型コロナもノロも予防! ノンアル除菌成分「クロラス酸」の優位性は?世界初の製品化(2/5 ページ)

» 2020年12月04日 11時25分 公開
[小林香織ITmedia]

クロラス酸とは一体なんなのか

 一般消費者には聞き慣れないクロラス酸だが、飲食や食品加工業界ではよく知られた成分だという。食品添加物殺菌料や調理者の手指洗浄剤として広く使われている亜塩素酸水の主成分であることが、その理由だ。アルコールなどと比較したクロラス酸の優位点は主に以下4つだ。

(1)コロナをはじめ、幅広いウイルス・菌に効果を発揮

アルコールとクロラス酸の除菌効果比較

 ウイルスには、大きく分けてエンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスの2種類が存在し、前者はエンベロープという脂質を主成分とする膜に包まれている。新型コロナやインフルエンザはエンベロープウイルスであり、一定濃度以上のアルコールで不活化が可能とされる。

 一方、ノロウイルスはノンエンベロープウイルスであり、外膜がなくても感染力を保持することからアルコールは効きづらい。クロラス酸は、このような熱やアルコールに抵抗性を持つウイルスや菌でも除菌効果を発揮するという。

(2)水や汚れにも強い

アルコールとクロラス酸の除菌効果比較

 アルコールは水と混ざり合うことで濃度が薄まり失活することから、水分が残ったテーブルなどにアルコール除菌剤を吹きかけてフキンで拭いても、十分な除菌効果は得られない。厚生労働省や消費者庁でも、食器・手すり・ドアノブなど身近な物の消毒には、アルコールよりも熱水や塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム 0.05%以上)、及び一部の洗剤が有効だと発表している。クロラス酸は水分や汚れが残った状態で使用しても、除菌効果が劣らない強みがある。

 1点、補足事項として厚生労働省と消費者庁が推奨する「次亜塩素酸ナトリウム」とクロラス酸が含まれる「亜塩素酸水」は、名称が類似しているが別物だ。現状、亜塩素酸水が除菌剤として国に推奨されていないのは、亜塩素酸水(クロラス酸)を使った製品が市場に十分に出回っていないためであり、除菌効果は次亜塩素酸ナトリウムと同等、あるいはそれ以上に期待できると西田氏は言う。

(3)刺激作用が少ない

 刺激が強く手荒れの原因になりやすいアルコールに比べ、弱酸性〜中性のクロラス酸は刺激性が低く、クロラス酸0.8%の水溶液の場合、皮膚に刺激がないことも確認された。

(4)安全性が高く使いやすい

 クロラス酸は引火性がなくニオイも少ないため、キッチンなどで使っても問題ない。

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