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» 2020年12月11日 11時00分 公開

「転落しないため」に:自己啓発セミナーは「くだらないだけ」なのか――神無き時代、「信者ごっこ」の真の意味 (1/4)

しばしば批判される自己啓発ビジネス。ただ筆者は自己啓発自体には切実な必要性があると指摘。「啓発し続けなければ転落する」困難とは。

[真鍋厚,ITmedia]

 自己啓発と聞くと、なんだか胡散(うさん)臭く感じられ、徹底的に馬鹿にしたくなる――。これは、自己啓発セミナーや自己啓発本に代表されるような「一時的な高揚感と中身の無さ」のイメージがまず浸透していることに加えて、近年ネットメディアを中心に、インフルエンサーの訴求力に頼っただけのオンラインサロン的なビジネスが雨後の筍のごとく増殖しているからです。

photo 揶揄されがちな自己啓発ビジネス、その意味とは(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

「働き続けるため」の自己啓発、とは

 しかし、広義の自己啓発とは、単に「よりよい自分になること」「自己の能力を向上させること」を指しており、実はわたしたちが近代社会にいる限り多かれ少なかれ逃れられない宿命と言えるものなのです。しかも今後、技術革新によって変化が加速し、ライフスパンが長期になればなるほど、恐らく必須項目と化していくことは避けられないでしょう。

 マクドナルドを世界最大のファストフードチェーンにしたマクドナルド・コーポレーションの創業者レイ・クロックの半生を映像化した「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」(2016、アメリカ、監督:ジョン・リー・ハンコック)という映画があります。冒頭のシーンで、マイケル・キートンが演じるレイ・クロックは、プロテスタント系の牧師ノーマン・ヴィンセント・ピールの『積極的思考の力(Power of Positive Thinking)』のレコードを繰り返し聴き、自らを奮い立たせる夢追い人として描かれます。

 ピールは、本のタイトルにある通り「ポジティブ・シンキング」の生みの親で、「できると考え始めたとき、人は驚くべき力を発揮する。自分自身を信じるとき、人は成功への最初の秘訣を知る」などと記しています。つまり、岩盤を穿(うが)つような強い意志や信念こそが起爆剤になるというわけです。

 クロックは、50歳までは妻にも呆(あき)れられるくらい、成功から見放された人物でしたが、マクドナルド兄弟と出会い、天啓を受けたかの如(ごと)く、世界的なチェーン展開に邁進(まいしん)します。そして、その異常ともいえる執念、権謀術数の数々によって巨万の富を得ました。

 これは2つのレベルでわたしたちに動機付けの重要性を告げています。1つは「成功するための自己啓発」、もう1つは「働き続けるための自己啓発」です。後者は意外にも見落とされがちです。

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