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「ウェビナー・Web会議」のシステム選定と活用のポイント研修や説明会、サービス紹介セミナーに(3/4 ページ)

» 2020年12月18日 07時00分 公開
[企業実務]

 ウェビナー・Web会議がはやり始めたことしの3月に起こったZoom社のセキュリティ問題は記憶に新しいかと思います。アカウントを乗っ取られたり、部外者がなりすまして参加できるなどと報道されました。インターネット上でオープンに参加できる環境をつくっているために、完全なセキュリティ対策を講じることは難しく、今後もセキュリティトラブルが発生することが予想されます。

 また、ウェビナー・Web会議では、集中力持続の問題が発生しています。

 オンラインでは、動画と音声のみから情報を受け取るため、オフラインのように実物を観ながら身体感覚でお互いの非言語情報を読み取るなどの刺激が少なくなり、集中力が持続しません。そこで休憩を多く挟むと離脱が増加するなどの問題もあり、開催時間は1時間30分が限界といわれています。

 さらに、オンライン接続環境によっては、接続できない、途中で切れてしまう、動画や音声がはっきり届かないなどの問題も発生しています。

 ウェビナー・Web会議がはやり始めた3月頃には、「ギガ死」(設定されているデータ通信量をオーバーし通信速度に制限がかかる状態)という言葉がよく聞かれるなど、オンライン接続環境の整備は喫緊の課題です。これは、主にオンライン接続の容量やパソコンのスペックが原因で起こっており、容量を増加させるか、パソコンを高機能なものに変更するしかなく、費用との問題にもなってきます。

 筆者も講義をしている最中にウェビナー・Web会議ツールが機能しなくなったり、パソコンがなぜかシャットダウンしたり、相手の音声が聴きとりにくくなったり、動画が固まってしまったりと冷や汗をかくことが数多くありました。

ウェビナー・Web会議を行う際のポイントとは

 前述の問題を回避して、より効果的なウェビナー・Web会議を行うポイントは次の5つです。

(1) 開催目的の明確化

  • 目的により実施方法やツール、準備が全て変わってくるため、「なぜ開催したいのか」を定義し、主催者と参加者双方に共有しておく

(2) 伝えたい情報の減量化

  • ウェビナー・Web会議の開催時間の目安である1時間30分のなかで伝えられることには限界があり、これまで通りの分量にすると多すぎて伝えたいことが伝わらなくなるため、情報を厳選する
  • 集合して実施する通常のセミナー・会議の場合は、複数の人が同時に話しても聴き分けられるが、ウェビナー・Web会議では、一度に一人しか話ができず、通常より時間がかかるため簡潔に話す

(3)双方向性の創意工夫

  • ウェビナーシステムを使う場合は、チャット機能やQ&A機能を活用して、常に相手との双方向性を意識したセミナー構成にしていく必要がある(オンライン化のメリットでもあるが、ウェビナーシステムのほうが質問をしやすい傾向にあり、これまでよりも講師との双方向性が確保できる)
  • Web会議システムを使う場合は分科会機能を駆使して、定期的に少人数の話合いを挟む構成にし、チャット機能を活用して意見交換を全体でも行うように仕向けていくと参加者の参画意識が高まる

(4)オンライン環境の整備

  • 主催者側のオンライン環境は、一定の接続容量や回線速度の確保、パソコンの高スペック化、予備パソコンの準備などが必要
  • 参加者側にも接続条件や準備事項を事前に伝えて、できるだけの環境整備をしてもらう(パソコン上で余計なソフトウェアを閉じるだけで環境がよくなることがある)
  • 参加者側の環境情報を伝えないための方法を紹介し実践する(マイクオフ、カメラオンなど)

(5) ウェビナー講師のマナーに注意(話し方、言葉遣い、身だしなみなど)

  • 講師の声によって参加者は導かれるため、実際の会場で話をする以上に声量や話し方、言葉遣いに気を使わなければ参加者の集中力はすぐに落ちてしまう
  • 見られていることを忘れてしまいがちになるため、いつも以上に身だしなみには気を付ける
  • 顔色や表情、髪形など実際の会場ではさほど気にならないことがオンライン上だと気にされることもある

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