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» 2020年12月16日 05時00分 公開

「総務」から会社を変える:法整備、オフィスの在り方、DX……「総務」の視点で振り返る2020年 (1/3)

『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。2020年最終回となる今回は、総務の視点から今年1年のニュースや変化を振り返る。

[豊田健一,ITmedia]

 激動の2020年が終わろうとしている。新型コロナウイルスの感染拡大が収束の兆しをなかなか見せない中、21年も引き続き、何が起こっても不思議ではない「VUCA」時代が続いていくような気がする。ともあれ、まずはこの1年を「総務」の視点で振り返ってみよう。20年は、総務にとってどのような1年だったのだろうか。

出所:ゲッティイメージズ

働き方改革を進める法令改正の年

 まずは、総務に関係する法改正など、「ハード面」について振り返ってみよう。

 大きなものとしては、4月に「同一労働同一賃金」(いわゆる大企業のみ、中小企業は21年4月1日から対象)が開始となった。正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の、不合理な待遇差を解消することを目指す制度である。待遇差を巡っては最高裁の判決などもあり、一定の方向性が見えてきている。中小企業も年明けの四月から施行となるので、アルバイトや契約社員が正社員と混在して働くような職場においては、各種手当制度の再設計などに関して早めの検討が必要となる。

各種手当の見直しも、必要になってくるかもしれない(出所:ゲッティイメージズ)

 同じ4月には「時間外労働の上限規制」の適用が、中小企業向けに実施された。こちらも同一労働同一賃金同様、先んじて大企業には20年4月に適用されていたものだ。総労働時間の上限が新しく定められることとなり、これを上回る労働時間の定めや、実際の労働が行われた場合は労働基準法違反となる。従来は、特別条項が適用されると青天井だった労働時間に法的な縛りが定められたことで、働き方改革の実効性を高める画期的な法令である。

 6月に、大企業に対して施行された改正労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法も紹介する必要があるだろう(こちらも大企業のみ先行して対象。中小企業は22年4月からの施行)。パワハラ防止法により、企業(事業主)は職場におけるパワハラ防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが義務となる。そして、適切な措置を講じていない場合には是正指導の対象となる。さらに、パワハラが常態化して改善が見られない企業に対しては、企業名を公表する措置もあるため、総務や人事が主導して、職場環境の整備を行う必要があるといえる。

 また、開催予定だった東京五輪に合わせて、グローバル標準に合わせる観点から健康増進法の一部改正があった。これにより原則「室内禁煙」となり、喫煙のためには施設内の喫煙室設置などが求められることとなった。さらに、東京都では受動喫煙防止条例もあり、多くの企業で「たばこ部屋」が閉鎖されたことだろう。

 民法も、120年越しの大改正が行われた。特に債権に関するものが大きく改正となった。主なものは、保証人の保護に関する改正、約款(定型約款)を用いた取引に関する改正、法定利率や消滅時効に関する改正である。契約書の作成やチェックを行う総務としては、特に関係が深い法令改正である。民法ではないが、契約に関しては「脱ハンコ」の流れもあり、電子署名に関して政府見解の発表もあるなど、さまざまな変化が起きた1年だった。

出所:ゲッティイメージズ
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