電動化の主役は完成車メーカーではなくサプライヤーだ!加速するクルマの電動化(2/6 ページ)

» 2020年12月22日 17時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

日本の純エンジン車販売禁止は、大局的に見れば小ネタ?

 国内需要だけに支えられている自動車メーカーは、ほとんど存在しない。例外として、スズキはインド市場に強く、またダイハツはマレーシアで活躍するなど、コンパクトカー以下のサイズに特化したメーカーはやや特殊な事情があるが、世界最大の自動車市場である中国と、第二の市場である北米が稼ぎ頭であることは、世界中の自動車メーカーに共通する実態であり、サプライヤーも同様だ。つまり日本市場の販売規制だけでジタバタするようなメーカーやサプライヤーは、あまりないのである。ここに感覚のズレがあるように思う。

 欧州も全体としては大きな市場だが、ユーザーの嗜好やニーズに沿ったクルマ作りに長けているブランドが根強く支持されている地域だ。日本メーカーも健闘しているが、歴史的に古く、風土に根付いた自動車メーカーが数多く存在している地域だけに、厳しい戦いが続いている状況だ。

 そうした欧州メーカーも今や、稼ぐために中国や北米市場へ乗り込んでいる。したがって二大市場は、地元メーカーだけでなく、欧州メーカーとも凌ぎを削るマーケットにはなるが、アウェー同士となれば欧州市場よりも有利な場合もあり、今後はますます販売に力を注ぐことになる。

 そういった現状を踏まえると、中国や欧州市場の一部で純エンジン車が販売禁止されることは、日本の自動車メーカーにとって電動化を加速させなければならないことを意味する。これは日本市場や菅政権とはまったく関係ない事情で、海外の動きに日本が影響を受けただけでしかないが、日本メーカーとってはより深刻な問題なのである。

中国の大都市では大気汚染が深刻化しており、原因の一つとなるスクーターに続いて、クルマにもNEV規制を導入してEVの普及を推進してきた。規制は、中国市場でのエンジン車の販売力低下と、中国製EVの優位性を高める政策も兼ねている

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