電動化の主役は完成車メーカーではなくサプライヤーだ!加速するクルマの電動化(6/6 ページ)

» 2020年12月22日 17時00分 公開
[高根英幸ITmedia]
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バッテリーの性能、それも極限性能が決め手

 しかしEVやプラグインハイブリッドなど、バッテリー搭載量の多い車種を広域で販売するためには、単なる航続距離や車両価格などのコストパフォーマンスだけでは行き詰まるだろう。やはり決め手はバッテリーになるのではないか、と筆者は見ている。

 電動化においては、モーターやインバーターも要となる部品だが、その技術力レベルは世界中で高まっており、今後もさらに接近した争いになるだろう。レアアースの使用率を下げる技術で日本はトップレベルにあるが、レアアースを産出する地域においては、その技術にアドバンテージはあまりない。

 リチウムイオンバッテリーは、エネルギー密度が高いため品質の問題で発火事故が起こることも知られるほど、シビアな品質管理が要求される。しかもモーターとは異なり、バッテリーは各温度帯の対応が容易ではない。通常のリチウムイオンバッテリーは低温時に電圧降下が避けられないため、バッテリーを暖める必要すら出てくる可能性もある。

 低温に強いリチウムイオンバッテリー、リチウムイオンキャパシタなど、日本の蓄電技術がこれまで培ってきた技術がさらに発展すれば、EVやPHEVの信頼性、耐久性を向上させることになり、結果的にブランド力を高めることにもつながっていく。現状の技術レベルで満足せず、さらに高みを目指す地道な努力を続けられる点が、日本のエンジニアリングの強みといえるのではないか。

 アイデアや決断力では、欧米や大陸には敵わない部分もあるかもしれない。けれども、これまで培ってきた日本のものづくりの地盤は、これからも引き続き強みになる、絶対に。そう信じてサプライヤーにエールを贈ろうではないか。

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