純エンジン車が販売禁止となるのは、英国が30年、中国は35年、フランスは40年からだ。しかし今後、各国が影響し合うことで、規制開始の時期が前後したり、内容が見直される可能性は十分ある。とはいえ、電動化の流れがカーボンニュートラルによって加速するのは、動かぬ事実だ。
今からゼロベースで新型車を開発するとなると、30年というのはかなり厳しいスケジュールだが、それを成し遂げなければ生き残っていくことはできないだろう。
21年から欧州市場で課せられるCAFE規制(企業別平均燃費)は、CO2排出量が走行1kmあたり95gという規制で、エンジン車にとってはとてつもなく高いハードルである。そこから予測すると、30年代に実施される純エンジン車の販売禁止はさらに厳しい規制になるはずだ。エンジンの加速をモーターがアシストする程度の仕組みでは、到底クリアできるとは思えない。そのため現時点では燃費向上に有効なマイルドハイブリッドも、10年先はあまり期待できないデバイスとなってしまうだろう。
そしてもう一つの主力マーケット、北米市場もしばらく目が離せない。1月からバイデン政権となれば、途端に燃費規制が厳しくなったり、純エンジン車に中国同様の販売規制が敷かれる可能性は小さくない。そもそもZEV(ゼロエミッション車)規制を始めたのはカリフォルニア州であり、それが四半世紀を経て世界中へと広がったことを思い出して欲しい。さらにカリフォルニア州では、商用車も24年からZEV規制が行われることが決定している。純エンジン車が販売禁止となるのは45年とされているが、これも前倒しされる可能性がないともいえない。
また中国市場の電動化拡大を見据え、モーターメーカーの日本電産が開発拠点を新設すると発表している。その他の日本企業も欧米のサプライヤーも、電動化に向けて試作品の開発や自動車メーカーへの売り込みなどを積極的に展開し、業界内でのポジション争いを繰り広げているのが現状だ。
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