「ドル円は2021年いっぱい下がり続けて90円、95円くらいになる。超円高が起こる」。21年のドル円為替について、このような予想を披露するのは、マネックス証券のチーフ・FXコンサルタントの吉田恒氏だ。
20年のドル円相場を振り返ると、株高が進む中、それと並行してドル円は下落が進んだ。3月のコロナショックとともに一時的に超円高が起きたが、その後111円程度まで上昇。そして、12月に向けて下落幅は7%にも達した。12月末時点の為替は103円台だ。
吉田氏は、このトレンドは円だけでなく、ほかの通貨でも発生したと話す。コロナ後は、ドルは全面安の展開だ。
一般に、短期の変動は別として、為替相場は二国間の金利差によって決まるとされる。金利の高い通貨が買われ、金利の安い通貨が売られる。これまでは、ゼロ金利政策をとっていた日本円に対して、米国は2%程度の政策金利を維持していたが、コロナ禍によってインフレ率を加味した実質的な金利はゼロにまで下がった。両国間の金利差が縮小したため、円が買われ、ドルが売られる。つまり円高に振れていったわけだ。
ではなぜコロナショック直後は、ドルが買われたのか。吉田氏は、「これだけの有事だから現金を持つ。キャッシュイズキング。キャッシュとはドルなので、パニックの最中においてはドル買いが殺到した。金利なんて関係なく買われた結果、ドル上昇が起きた」と説明する。
現在は、そのパニックからのかい離の解消局面にある。「金利差で説明できないドル高は、状況を維持できない。金利差とドル価格のかい離が調整されてきたのが、コロナショック後のドル安トレンドだ」(古田氏)
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