「ふざけんなよと」怒り爆発 大手外食が“露骨に冷遇”されるワケスピン経済の歩き方(1/6 ページ)

» 2021年01月19日 10時20分 公開
[窪田順生ITmedia]

 「ランチがどうのこうのと言われました。ふざけんなよと」

 先週、サイゼリヤの堀埜一成社長が決算会見の場でキレたことが大きな話題になった。緊急事態宣言によって、午後8時までの時短営業が要請されて経営がかなり苦しいところ、西村康稔経済再生担当相が、「昼間も不要不急の外出をお願いしたい」と口走ったことに、つい怒りが爆発してしまったのだ。

 ただ、堀埜社長の気持ちは痛いほど分かる。休業補償は時短分しか出さないから午後8時までは自分たちでしっかり稼げよ、と冷たくつき放す一方で、同じ口で客に対しては「今は自粛だから店に行くなよ」と呼びかける。完全な「生殺し」状態だ。

大手外食チェーンが苦境に立たされている(画像はイメージ、出典:ゲッティイメージズ)

 しかも、東京都では1日6万円の感染拡大防止協力金は、中小企業や個人事業主に限定されている。サイゼリヤのWebサイトによると、東京都には212店あるが、それらはかなりシビアな企業努力を強いられているのだ。一部の閉店休業状態の飲食店オーナーが、「協力金バブル」「このお金で旅行します」などとうかれている話もある中で、「ふざけんな」の一言くらい出て当然の理不尽さと言えよう。

 「大手外食はまだ余裕があるからだ」と思う人もいるだろうが、居酒屋チェーン大手のモンテローザが都内店舗の2割にあたる61店を年内に順次閉店をしていくと発表したように、大手は店舗が多いぶんダメージもかなり深いのだ(関連記事)。また、店舗が多いということは、それだけ働く人が多いということでもある。もし大手が潰れるようなことがあれば、それだけ失業者があふれて、堀埜社長が会見で述べたような「シャレにならないことが起こる」のは必至だ。

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