AMD、クアルコムやエヌビディアといった大手半導体メーカーは、一部を自社で生産しているところもあるものの、内製率はそれほど高くない。半導体メーカーはほとんどが工場を持たないファブレス企業であり、回路の設計と生産プロセスの開発を専門に行い、生産は委託するのが常識となっている。
それは半導体という製品の性質上、極めて高いレベルのクリーンルーム下での生産環境が必要であり、そのためのコストだけでも莫大なものになってしまうからだ。半導体が緻密になっていくほど、生産設備の機械的性能だけでなく、クリーンルームのコストが上昇してしまうため、スケールメリットが大きく影響する。
そのため半導体の構造を10nm(ナノメートル)以下に微細化した先端プロセスによる製品は、ほとんどがファウンドリーと呼ばれる生産を専門に行う企業が請け負っている。台湾のTSMCというファウンドリーが世界中で委託生産される半導体の半数以上を受託生産しているのは、そういった背景により、どんどん生産が集中していったことが要因だ。
世界的に半導体の生産量は上昇している。TSMCでも生産の現場はフル稼働しており昨年よりも40%も売り上げが増大しているにもかかわらず、供給が追い付いていないほど、急速に需要が拡大しているのである。
今や自動車メーカー、半導体メーカー、ファンドリーの立場が逆転し、下請けが生産や価格をコントロールできる状況になりつつあるのだ。
エヌビディアが自動運転用として開発したDRIVE Xavier(ザビエル)。GPUをベースとしたSoC「Xavier」が搭載されている。ユニットの生産だけでなく、GPUの生産も基本はファンドリーに委託している
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