スタバとドトールが苦戦してるのに、コメダが健闘 「立地」と「商圏」の決定的な違いとは飲食店を科学する(1/4 ページ)

» 2021年01月28日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

 皆さんこんにちは、飲食店コンサルタントの三ツ井創太郎です。

 新型コロナウイルス第3波に伴う緊急事態宣言などの影響で、外食産業は厳しい状況が続いており、アルコールを提供する居酒屋などの休業が繰り返し報じられています。一方、あまり影響のなさそうなカフェ・喫茶といった非アルコール業態もコロナ禍で大きな打撃を受けています。しかし、この厳しい状況でも、2020年3〜11月の9カ月間で42億円もの利益を上げている企業があります。今回はこうした企業の事例から学んでいきたいと思います。

 まず、カフェ・喫茶チェーンで店舗数1位のスターバックスコーヒーと、2位のドトールコーヒーにおける直近の決算を見ていきます。

圧倒的な店舗数を誇るスタバの業績は?(写真提供:ゲッティイメージズ)

スタバもドトールも大苦戦

 スターバックスコーヒージャパンの第26期決算公告(19年10月〜20年9月)を確認すると、売上高は1738億1000万円(前年同期比13.6%減)、営業利益は8億6600万円(同95.3%減)、純利益に関しては19億円の赤字です。

 一方、ドトールコーヒーなどを展開するドトール・日レスホールディングスの21年2月期第3四半期決算短信(20年3〜11月)を確認すると、ドトールコーヒーグループセグメントにおける売上高は434億8000万円(同28.3%減)、営業利益は18億9800万円の赤字(前年同期は41億400万円の黒字)という状況です。

 スターバックスコーヒーやドトールコーヒーが非アルコール業態にもかかわらず、ここまで売り上げが落ち込んでしまった要因の一つに「出店立地」が挙げられます。両ブランドは駅前や繁華街に多数の出店をしています。そのため、緊急事態宣言による休業や、在宅ワークの普及に伴う駅前や繁華街の流動人口減少に大きな影響を受けています。

 ここで、出店立地の考え方である「昼間(ちゅうかん)人口」と「夜間(やかん)人口」を解説します。

 昼間人口を分かりやすくいうと「その地域に通勤する人と通学する人の合計」です。一方、夜間人口とは「その地域に住んでいる人の合計」となります。

 一般的に駅前・繁華街立地は昼間人口が多く、住宅街・郊外立地は夜間人口が多くなります。どちらの割合が多い場所に出店するかで、お店のビジネスモデルは大きく変わります。

 夜間人口を100とした場合の昼間人口の指数は、昼間人口÷夜間人口×100=昼夜間人口比率です。昼夜間人口比率が100を超える立地を私はビジネス型(通学型)商圏、逆に100を下回る場合は住宅街型商圏と呼んでいます。

 少し余談になりますが、われわれコンサルタントが飲食店の出店プロデュースなどのご依頼をいただいた際には、こうした人口データも商圏分析に活用していきます。

 ここで、商圏分析ついてもう少し詳しく説明します。分かりやすい例として東京の「渋谷駅」と、渋谷駅から井の頭線で5分の場所にある「下北沢駅」を比較してみます。

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